セッション情報 一般演題

タイトル 254:

肝、脾に限局してみられた悪性リンパ腫の一例

演者 田中 秀紀(社会保険大牟田天領病院 内科)
共同演者 水足 謙介(社会保険大牟田天領病院 内科), 飯田 浩章(社会保険大牟田天領病院 内科), 東内 真一(社会保険大牟田天領病院 内科), 本多 敬和(社会保険大牟田天領病院 内科), 三浦 史博(社会保険大牟田天領病院 内科), 柴田 雄司(同院 病理)
抄録  症例は79歳、男性。主訴は発熱。平成13年9月17日より39℃台の発熱と労作時の動悸が出現したため9月18日当院循環器科受診。心電図、心エコー上特に異常みられなかったが、血液検査で黄疸と肝胆道系酵素の上昇、炎症反応が認められたため当科を紹介受診した。腹部エコーで胆泥、胆嚢炎の所見と肝臓と脾臓に腫瘤性病変が認められたため、精査加療目的で同日入院となった。胆泥、胆嚢炎に対しては、抗生剤(SBT/CPZ 2g/day)の投与を開始し、その後徐々に炎症反応、肝胆道系酵素ともに改善がみられた。肝脾の腫瘤性病変に関しては、腹部エコー上、境界明瞭で内部が比較的均一な低エコー腫瘤が多発しており、CTでは造影効果のない腫瘤であったため、第一に転移性腫瘍が考えられた。鑑別疾患として悪性リンパ腫やHCV-Ab (+)であったため原発性肝癌も考えられたが、確定診断には至らず腫瘍生検を施行したところ、非上皮性の腫瘍で、免疫染色にてCD20(+), Vimentin(+), CD3(-), EMA(-), Cytokeratin(-), Synaptophysin(-), Chromogranin A(-)となりMalignant lymphoma(non Hodgikin diffuse medium cell size B cell type)と診断された。血液検査でも可溶性IL-2レセプターが1100 U/mlと高値であったためlymphomaに矛盾しない結果であった。また、骨髄生検ではlymphoma cell invasionを疑う所見は認められず、肝臓と脾臓に限局した腫瘍であった。入院後、急速に腫瘍が増大してきたため、10月17日からTHP-COP療法(THP 40mg, CY 500mg, VCR 1.0mg, PSL 40mg)を開始した。11月8日の1クール終了時の腹部エコーでは肝、脾内の腫瘤はほぼ消失しており、11月13日より2クール目を施行したが、特に副作用も認められず、外来chemotherapy可能と考えられたため11月14日退院となり、以後CRを維持している。今回、肝、脾に限局した悪性リンパ腫の一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝, 悪性リンパ腫