セッション情報 |
パネルディスカッション6(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
非切除胆道癌の治療のコンセンサス
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タイトル |
外PD6-6:胆道癌に対するR2手術+化学療法例の検討
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演者 |
味木 徹夫(神戸大・肝胆膵外科) |
共同演者 |
上野 公彦(神戸大・肝胆膵外科), 具 英成(神戸大・肝胆膵外科) |
抄録 |
【目的】胆道癌に対する外科的根治切除は長期生存を得る最良の方法である。しかし、手術時に根治切除不能因子が判明した場合、単開腹+化学療法とするか、減量切除を行い化学療法とするかのコンセンサスは無い。今回、当科でR2手術となった後に化学療法を施行した症例の成績を非切除例と比較して検討した。【方法】2002-2010年までにR2手術となり、術後に化学療法を施行した進行胆道癌39例(胆嚢癌12例、肝外胆管癌19例、肝内胆管癌 (IHCCC) 8例、M/F=25/14、平均68歳)を対象とした。胆管上皮内癌遺残症例は検討から除外した。術後化学療法は段階的治療とし、1st lineはgemcitabine (GEM) 1000mg/m2を3投1休で投与し2コース後に評価、progressive disease (PD)となった症例は2nd lineとしてS-1を80-120mg/body/日で4週投与2週休薬で投与した。【成績】手術術式は、IHCCCは各種肝切除、胆管癌は肝切除5、膵頭十二指腸切除 5、胆管切除8、胆嚢癌は胆嚢摘出または肝床切除(+胆管切除、胆道再建)であった。R2手術となった理由は、P 4、H 4、N 9、剥離面の遺残12、胆管断端のmassiveな遺残10であった。部位別にR2となった主要な因子を検討すると、胆嚢癌はN(#16), H、胆管癌は胆管断端癌遺残、IHCCCはN, 剥離面+であった。R2例のGEM 6回以上投与可能例は33例(84.6%)、継続不能6例(平均生存5.8ヶ月)で、同時期の非切除例の継続可能率73%より良好であった。R2例のS-1移行は11例(33%)で、累積生存率は1生68%、2生27%、50%生存期間16ヶ月で、同時期の胆道癌非切除例の50%生存期間(10ヶ月)に比べ有意に良好であった。また、R2例は切除によりチューブフリーとなり、化学療法中の胆管炎などでの入院回数が非切除例に比べ有意に少なくQOLが改善された。【結論】非切除例と切除例のはざまにあるR2手術+化学療法例は、非切除例と比べ化学療法の継続率が高まり、QOL改善と生存期間延長にも寄与していた。肝葉切除例などでは十分な薬剤投与が困難な例もあり、化学療法施行のための適切な術式選択が課題と考えられた。 |
索引用語 |
胆道癌, 化学療法 |