セッション情報 |
ワークショップ1
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タイトル |
W-003:Cutting法を用いた内視鏡的粘膜切除術の適応拡大と問題点について
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演者 |
宿輪 三郎(国立病院 長崎 医療センター) |
共同演者 |
中尾 実紀子(国立病院 長崎 医療センター), 中山 敏幸(長崎大学医学部原研病理), 石橋 大海(国立病院 長崎 医療センター) |
抄録 |
近年、ITナイフ、細径スネア、Hookナイフを用いた内視鏡的粘膜切除術(Cutting-EMR)の導入により、従来外科的適応と考えられていた病変もEMR可能となり、内科外科境界の早期胃癌の概念も大きく変わりつつあり、EMRの適応基準と適応病変(内科領域の早期胃癌)について論じたい。【目的】Cutting-EMRの適応病変と適応拡大の問題点について検討する。【方法】1.2001年1月よりCutting-EMRを施行した胃粘膜内上皮性腫瘍40例におけるCutting-EMRの有用性と問題点の検討。2.分化型早期胃癌(pap,tub1,tub2)の切除症例117例(A:m癌95例、B:sm1癌22例)をもとに、腫瘍径とリンパ管侵襲、静脈侵襲、リンパ節転移の関連性を検討した。(200例予定)【成績】1.有用性:従来のEMR適応基準の腫瘍径2cm(切除径3cm)以下の粘膜内病変においては内視鏡的完全切除可能であり、従来困難であった噴門部近傍、幽門輪近傍の症例や軽度の潰瘍瘢痕を有する症例の切除も可能であった。問題点:腫瘍径2cm(切除径3cm)以上の病変、噴門部を含めた体上中部は易出血であること、大彎ならびにその近傍後壁の病変は切除困難であること、高度の瘢痕を有するや腫瘍径の大きな症例は治療時間が長くなる傾向があった。2.A:粘膜内癌:腫瘍径3~105mmで最大径の1例でリンパ管侵襲1例、リンパ節転移を認めた。B:sm1癌:腫瘍径5~50mmでリンパ管侵襲を2例に認めたがリンパ節転移は認めなかった。【考察、結論】内科領域の早期胃癌とは、内視鏡的に完全切除できるリンパ節転移のない分化型早期胃癌と考えられる。病理学的検討から技術的に可能であれば分化型粘膜内早期胃癌の腫瘍径の適応拡大は可能と考えられた。さらに外科治療で大きな手術浸襲が予測される早期胃癌の治療にCutting-EMRが可能であったことは、有用と考えられた。我々のCutting-EMR適応病変は腫瘍径5cmまでの分化型粘膜内早期胃癌と考えるが、表層拡大型早期粘膜内胃癌、低分化型粘膜内早期胃癌、sm1早期胃癌などの適応拡大についても論じたい。 |
索引用語 |
Cutting-EMR, 内視鏡治療 |