セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 53:保存的に治療し得たgroove pancreatitisの一例 |
演者 | 宜保 淳也(九州大学 病態制御内科 (第三内科)) |
共同演者 | 伊藤 鉄英(九州大学 病態制御内科 (第三内科)), 河辺 顕(九州大学 病態制御内科 (第三内科)), 古賀 荒太郎(九州大学 病態制御内科 (第三内科)), 樋口 奈緒美(九州大学 病態制御内科 (第三内科)), 有田 好之(九州大学 病態制御内科 (第三内科)), 明石 哲郎(九州大学 病態制御内科 (第三内科)), 大野 隆真(九州大学 病態制御内科 (第三内科)), 井上 直子(九州大学 病態制御内科 (第三内科)), 小島 瑞穂(九州大学 病態制御内科 (第三内科)), 貞元 洋二郎(九州大学 病態制御内科 (第三内科)), 原田 直彦(九州大学 病態制御内科 (第三内科)), 廣瀬 卓男(広瀬病院), 名和田 新(九州大学 病態制御内科 (第三内科)) |
抄録 | 症例は53歳女性。大酒家。23歳時に胃潰瘍にて胃部分切除を施行された。平成13年末より右側腹部の鈍痛が出現。平成14年2月に強い上腹部・背部痛を自覚したため近医を受診。CTにて膵頭部腫大および胆嚢結石を指摘されたが、血中膵酵素は正常範囲であった。確定診断はつかず経過観察されていたが、同年4月にも症状の再発を認め、血中Amy 291 IU/l、尿中Amy 4850 IU/lと高値を指摘された。蛋白分解酵素阻害剤の内服を開始され、精査加療目的で当科外来を紹介受診した。当科初診時には膵酵素は正常範囲内であったが、AST 97 IU/l、ALT 67 IU/l、ALP 361 IU/l、γ-GTP 327 IU/lと肝・胆道系酵素の上昇を認めた。CTにて膵頭部と十二指腸間領域(groove)において低吸収域を認め、十二指腸下行脚に全周性壁肥厚と狭窄を認めた。また総胆管は拡張していた。入院後に施行したERCPでは、主膵管には明らかな異常を認めなかったが、副膵管に不整狭窄像を認めた。十二指腸粘膜の生検では悪性所見は認めなかった。EUSでは十二指腸壁外のgroove領域に点状の高エコースポットを多数認め、十二指腸壁との境界が不明瞭となっていた。また膵頭部の実質はheterogeneousで、やはり点状の高エコースポットが散在していた。MRではgroove領域に十二指腸壁と一塊となった帯状のT1延長域を認め、膵頭部背側にも遅延性増強を伴うT1延長域を認めた。以上の所見より広義のgroove pancreatitisと診断した。入院後内服治療の継続にて症状は消失し、肝・胆道系酵素も低下したため退院となったが、退院後飲酒を再開し、上腹部痛が再発したため同年8月に2回目の入院となった。入院時膵型Amy 140 IU/l、Lipase 180 IU/lと上昇しており、CTにて膵頭下部の腫大と周囲の炎症性変化を認めた。入院後は絶食管理とし、輸液および内服治療にて症状は消失、膵酵素も低下したため退院となった。2回目退院後は禁酒を継続し、一ヶ月後となる現在まで再発を認めていない。本邦の報告例では、女性に発症したgroove pancreatitisは本症例を含め2例のみであり、保存的に治療されたものは本症例を含め9例である。稀な症例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | groove pancreatitis, 保存的治療 |