セッション情報 シンポジウム1

タイトル S1-007:

肝細胞癌に対する治療戦略

演者 高見 裕子(国立病院九州医療センター 肝臓病センター)
共同演者 才津 秀樹(国立病院九州医療センター 肝臓病センター), 酒井 浩徳(国立病院九州医療センター 肝臓病センター)
抄録 肝細胞癌(以下HCC)に対して、当院では肝切除と比較して外科侵襲が軽微で、かつそれを凌賀する治療効果の得られているマイクロ波凝固壊死療法(以下MCN)を中心に、肝切除(以下Hr)、一部ラジオ波焼灼術(以下RF)を使い分ける治療戦略で臨んできたが、今回はその是非を検証するため、過去に治療歴がなく当院で初回治療を受けたHCCに限定して検討したので報告する。 【対象・方法】当本年7月末日までに当外科で治療したHCCはのべ723例。この中で初回治療例297例(MCN 209例、Hr 52例、Hr+MCN 23例、MCN+RF 2例、RF 11例)を対象に、各治療法別及び腫瘍径別で治療成績を比較検討した。なお、MCNの腫瘍径は29.6±9.7mm、腫瘍個数は2.6±1.7個、liver damage(以下、LD)はA 42.6%、B 54.2%、C 3.2%、Hrの腫瘍径は62.2±31.5mm、腫瘍個数は1.3±0.4個、LDはA 78.3%、B 21.7%、C 0%、Hr+MCNの腫瘍径は40.5±16.9mm、腫瘍個数は4.5±2.0個、LDはA 45.0%、B 55.0%、C 0%あった。 【結 果】297例全体の術後1年、3年、5年生存率は96.2%、80.3%、70.3%(平均観察期間868.3±466.9日)。これを治療法別に分け生存率をみると、MCNの術後1年、3年、5年生存率は98.3%、81.8%、71.3%、Hrは91.6%、67.7%、67.7%、Hr+MCNは80.4%、71.4%、47.6%。また、腫瘍径別にみてみると、20mm以下は100%、96.2%、96.2%、21~30mmは100%、85%、68.2%、31~50mmは94.8%、72%、64.6%、51mm以上は85.7%、69%、60.4%であった。 【結 論】Hr+MCNを除き、5年生存率は60~70 %の良好な成績が得られており、我々のHCCに対する治療戦略はほぼ妥当ではないかと考えられた。
索引用語 肝細胞癌, 治療