セッション情報 一般演題

タイトル 75:

診断に難渋した小腸出血の1例

演者 田嶋 倫江(大分医科大学 医学部 第一内科)
共同演者 石田 哲也(大分医科大学 医学部 第一内科), 田泓 拓郎(大分医科大学 医学部 第一内科), 清家 正隆(大分医科大学 医学部 第一内科), 吉松 博信(大分医科大学 医学部 第一内科), 安田 一弘(大分医科大学 医学部 第一外科), 安達 洋祐(大分医科大学 医学部 第一外科), 北野 正剛(大分医科大学 医学部 第一外科)
抄録 症例は68歳、男性。主訴、全身倦怠感、黒色便。平成13年までの検診では貧血、便潜血等異常を指摘されたことがなかった。平成14年、3月より動悸、全身倦怠感、黒色便を自覚するようになった。4月近医受診しHb5.0g/dlと著明な貧血を認めた。GFでは特に所見を認めなかった。鉄剤投与、輸血で症状改善せず、総合病院に転院した。CFで黒色便を認めたが巨大結腸症のためS状結腸までしか内視鏡を挿入できず出血源は不明であった。精査加療のため7月当科に入院した。CFを再試行したが下行結腸までしか挿入できず黒色便を認めたのみであった。消化管出血シンチでは大腸の脾彎曲部かまたは回腸からの出血が示唆された。ガストログラフィンによる小腸造影では回腸遠位にfilling defectを認めた。ガストログラフィン経口後のCTでは空腸遠位から回腸近位にかけてfilling defectを認めた。計2回施行した血管造影では右結腸動脈の末梢にangiodysplasiaを示唆する所見を認めた。 以上の画像所見を総合すると空腸または上行結腸のangiodysplasiaによる出血と考えられた。 当院外科で空腸切除および右半結腸切除を施行し、空腸に出血点を認めた。組織所見では粘膜下に大小の拡張した動静脈の増生が見られ動静脈吻合を認めないことより病理学的にもangiodysplasiaと診断した。 術前は進行する貧血のため計70単位の輸血を行ったが肝障害等の副作用を認めなかった。術後は経過良好で輸血により貧血は改善しHbの低下はなかった。 診断に苦慮した小腸出血の1例を経験したので報告する。
索引用語 小腸出血, Angiodysplasia