セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
169:プロピオン酸ベクロメタゾンとメサラジン併用注腸療法で症状改善しメサラジン注腸療法で維持している潰瘍性大腸炎の1例
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演者 |
石田 哲也(大分医科大学 第1内科) |
共同演者 |
田泓 拓郎(大分医科大学 第1内科), 有川 淳子(大分医科大学 第1内科), 清家 正隆(大分医科大学 第1内科), 吉松 博信(大分医科大学 第1内科), 那須 真示(国立大分病院消化器科) |
抄録 |
症例は34歳、女性。主訴、粘血便。平成12年 秋より腹痛あり。平成13年春より1日3~4回の粘血便が出現。同年10月、国立大分病院を受診、大腸内視鏡検査と注腸X線検査で左側大腸炎型の潰瘍性大腸炎と診断された。絶食、中心静脈栄養、メサラジン内服2.25g/日、ベタメサゾン注腸3mg/日投与により緩解導入し同年12月退院した。退院時、ベタメサゾン注腸は屯用とした。平成14年2月インフルエンザ罹患後、1日数回の粘血便と腹痛が出現し潰瘍性大腸炎の再燃と考えられた。メサラジン内服3g/日とベタメサゾン注腸3mg/隔日投与と増量し経過観察した。排便回数は減少したが粘血便、腹痛は持続したため同年5月当院受診。6-メルカプトプリン(6-MP) 30mg/日内服とプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)1.25mg/日注腸療法を開始した。投与開始14日後では症状に変化なかった。そこでBDP1.25mgとメサラジン1gの両者を生理食塩水に懸濁し1日1回注腸した。注腸開始3日後に粘血便、腹痛共に消失した。BDP1.25mg+メサラジン1g/日注腸を3週間維持しその後メサラジン1g/日注腸のみに減量し経過観察中である。減量後も再燃なく経過している。経過を通じて注腸療法によるものと思われる副作用や6-MPによる副作用は認めていない。BDPとメサラジン併用注腸療法を報告した文献によると投与量はBDP3mg+メサラジン2g/日であり、それぞれの注腸療法の投与量としてはやや多いため、この症例ではそれぞれの注腸療法の通常量で投与し、効果が認められ、ベタメサゾン注腸から離脱できた。この治療法はステロイド依存症例やステロイド離脱困難の症例、また他の治療法で効果がない症例に対して試してみる価値があると考えられる。 |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, プロピオン酸ベクロメタゾン |