セッション情報 一般演題

タイトル 214:

内視鏡的膵管ステンティングが奏功した膵性胸水を伴う膵液瘻の一例

演者 常岡 伯紹(長崎大学 大学院 移植・消化器外科 )
共同演者 田島 義証(長崎大学 大学院 移植・消化器外科 ), 幸 博和(長崎大学 大学院 移植・消化器外科 ), 福田 顕三(長崎大学 大学院 移植・消化器外科 ), 江口 晋(長崎大学 大学院 移植・消化器外科 ), 川下 雄丈(長崎大学 大学院 移植・消化器外科 ), 鬼塚 伸也(長崎大学 大学院 移植・消化器外科 ), 古井 純一郎(長崎大学 大学院 移植・消化器外科 ), 兼松 隆之(長崎大学 大学院 移植・消化器外科 )
抄録 症例は34才男性。平成13年急性膵炎の既往あり。平成14年1月上腹部痛が出現。近医にて急性膵炎の診断で保存的治療が行われ、一時軽快したが2月に再燃。同時に両側胸水の貯留を認めた。左胸水中のアミラーゼ活性は40000 IU/Lであった。胸腔低圧持続吸引が行われ症状・胸水共に消失したが、3月に再び上腹部痛・背部痛・発熱を認めた。3月5日、精査加療のため当院紹介入院となる。 入院時体温は38.6℃と上昇、左上腹部に筋性防御を認めた。血液検査で白血球12200、血清中エンドトキシン165.6pg/mlと高値を示し、PTも19秒と延長していた。CT上、膵全体の腫大、胸腹水、左腎周囲への炎症波及(Grade5)が見られた。重傷急性膵炎の診断で上腸間膜動脈より膵酵素阻害剤・抗生剤の持続動注療法を開始し、症状・検査所見・CT所見の改善を認めたが、経過中右胸水を認め、胸水中のアミラーゼ活性は74622 IU/Lと高値を示した。CTで大動脈腹側から食道背側、縦隔に連続する液体貯留を認めた。MRCPでは膵体部主膵管の狭窄とその尾側部における膵管の数珠状拡張、狭窄部近傍から頭側に液体の貯留を認めた。膵頭部主膵管に異常はなかった。膵管狭窄及び膵液瘻を疑いERPを行った所、膵体部主膵管に先細り状の狭窄を認め、近傍から頭側への造影剤の漏出を確認した。以上より膵管狭窄が再発性膵炎、膵液瘻、膵性胸水の原因と判断し、内視鏡的に7Frの膵管ステントを狭窄部を越えて留置した。ステント留置後、症状及び胸水は速やかに消失した。その後症状の再燃はなく、最終的に8.5Frステントを留置し5月27日退院した。現在は外来で経過観察中だが、4週間ごとに軽度の膵炎症状を繰り返すため、頻回なステント交換を行っている。 膵管狭窄が原因と考えられる再発性膵炎ならびに膵性胸水を伴った膵液瘻の症例を経験した。内視鏡的膵管ステント留置が著効したが、慢性膵炎症例と異なり、本症例のような正常膵に対し膵管ステントを留置する場合は頻回なステント交換が必要であると考えられた。
索引用語 膵液瘻, 膵管ステント