セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 32:頭蓋底横紋筋肉腫から胃への転移を来した一例 |
演者 | 平木 将紹(佐賀医科大学付属病院) |
共同演者 | 下西 智徳(佐賀医科大学付属病院), 大塚 順和(佐賀医科大学付属病院), 本山 健太郎(佐賀医科大学付属病院), 中房 祐司(佐賀医科大学付属病院), 宮崎 耕治(佐賀医科大学付属病院) |
抄録 | 【はじめに】横紋筋肉腫は、横紋筋に分化する間葉系細胞から発生する悪性腫瘍で、好発年齢は2~6歳、15~19歳であり、70%が10歳までに発症するといわれる。遠隔転移部位は肺、骨髄、リンパ節、骨に多く見られる。今回、頭蓋底横紋筋肉腫にて化学放射線療法後の外来経過中に、胃横紋筋肉腫を発症した一例を経験したので、文献的考察を加え報告する。【症例】35歳、男性。2000年10月、右上下肢脱力、複視、左顔面のしびれ感認め、近医にてMRI施行。頭蓋底腫瘍認められ、当院紹介。経蝶形骨洞的生検により、横紋筋肉腫の診断を受けた。これに対し、2001年1月、X-knife、化学療法施行し、その後外来にて経過観察となった。同年9月頃より空腹時の心窩部痛を自覚。貧血とタール便を伴っており、10月26日近医にて、上部消化管内視鏡施行され、胃腫瘍性病変認めた。10月27日、新鮮血吐血あり、精査加療目的に当院入院となった。入院時身体所見は、心窩部痛および複視、眼振、左顔面知覚低下、左口角麻痺を認める。血液所見は、貧血認める他異常所見は認めない。入院後、上部消化管内視鏡施行し、体上部大弯側に胃隆起性病変(11×6cm)より出血を認め、アルゴンプラズマ凝固術にて止血。生検にて、横紋筋肉腫の診断であった。その後も貧血の改善がないため、当院外科転科にて11月8日胃全摘術を施行した。その後脳外科転科し、化学療法施行され、12月21日退院となった。2002年1月4日再度化学療法目的に、当院脳外科入院となるも、頭部CTにて腫瘍の増大傾向認め、2月23日死亡された。頭蓋底横紋筋肉腫発症後、1年2ヶ月生存。剖検無し。【考察】頭蓋底横紋筋肉腫発症時、ガリウムシンチにて胃への集積認めなかったことと、発生頻度から横紋筋肉腫は頭頚部に多く、胃からの発生は非常に稀であること、また、病理組織学的に、頭蓋底腫瘍よりも胃腫瘍に分化度が低い幼若成分が多く認められることより、今回の胃横紋筋肉腫は頭蓋底横紋筋肉腫からの転移と考えられた。 |
索引用語 | 頭蓋底横紋筋肉腫, 胃横紋筋肉腫 |