セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
108:中国製やせ薬「せん之素こう嚢」による肝障害が疑われた一例
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演者 |
福留 克行(国立小倉病院内科) |
共同演者 |
佐藤 丈顕(国立小倉病院内科), 荒武 良総(国立小倉病院内科), 岡田 誠(国立小倉病院内科), 増本 陽秀(国立小倉病院内科) |
抄録 |
本年7月ごろより、国内で中国製やせ薬による健康被害が続々と報告され問題となっている。平成14年9月20日づけの厚生労働省の発表では,健康被害事例が817人で、うち死者4人と報告されている。症例は31歳、女性。身長159cm、体重66.8kg。ビール1日350ml×10年間の飲酒歴あり。輸血歴なし。肝障害の既往歴なし。平成13年6月から7月6日の間に中国製やせ薬「せん之素こう嚢」を計4回服用した(6月中に3回、7月6日に1回)。7月15日頃より全身倦怠感と嘔気を自覚し、7月17日に腹痛を認めたため近医を受診した。この時AST 56 IU/L、ALT 80 IU/Lと軽度の肝障害を認め、ウルソデオキシコール酸を処方されたが1回内服したのみであった。7月30日近医再診時、AST 214 IU/L、ALT 414 IU/Lと肝障害の増悪を指摘され当院を紹介された。 8月6日当科受診時AST 279 IU/L、ALT 536 IU/Lであり入院となった。入院安静によりトランスアミナーゼ値は低下し、経過中、黄疸、腹水、脳症などの肝不全症状は見られなかった。各種ウイルスマーカーや自己抗体は陰性であり、既知のウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎は否定的であった。腹部CT検査とMRCP検査では、胆嚢や総胆管内に結石などの異常所見を認めなかった。8月27日に施行した肝生検では脂肪肝の所見とともに肝細胞の大小不同や巣状壊死巣を認め、経過から中国製やせ薬「せん之素こう嚢」による薬剤性の肝障害が疑われた。現在問題となっている中国製やせ薬の関与により比較的軽症の肝障害を呈した1例と考えられ、トピックスも含めて報告する。 |
索引用語 |
中国製やせ薬, 薬剤性肝障害 |