セッション情報 |
ワークショップ1
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タイトル |
W-008:早期胃癌に対する幽門輪温存胃切除の適応と評価
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演者 |
長谷川 修三(福岡大学筑紫病院 外科) |
共同演者 |
平野 憲二(福岡大学筑紫病院 外科), 古藤 剛(福岡大学筑紫病院 外科), 二見 喜太郎(福岡大学筑紫病院 外科), 関 克典(福岡大学筑紫病院 外科), 永川 祐二(福岡大学筑紫病院 外科), 成富 一哉(同病理部), 有馬 純孝(福岡大学筑紫病院 外科) |
抄録 |
早期胃癌に対する幽門輪温存胃切除(P.P.G)の術後成績と適応について検討した。〈対象・方法〉1993年より2000年までに20mm未満,m,sm1を一応の適応基準として施行したP.P.G 52例は男女比 35/17で平均年齢 63.1歳であった。手術,術後評価としては無作為に選んだ幽門側胃切除(DG),B-I ,43例を対照群として、手術,術後評価(ダンピング症状,胆石発生,多発癌,再発の有無など)を検討した。われわれが行っているP.P.Gは胃肛門側は幽門輪より1.5~3.0cm温存し、リンパ節郭清については1群リンパ節のうち、No.5,No.1はサンプリングに止めている。本術式の適応基準に際しては1985年から2000年までにDG,D1郭清以上行った重複癌および遠隔転移症例を除く,L.M領域早期胃癌 429例のリンパ節転移危険因子ならびに転移部位を検索し行った。〈結果〉1. P.P.G症例(52):リンパ節転移例は2例(No 6 (+) : M,前壁,20mm,I (sm2) , tub 1 / No 4d (+) : L,大弯 ,7mm ,IIc (sm 2) ,tub 2 )で、分化型71例,por/sig 11例、深達度はm : 40,sm1 : 5,sm2:7であった。por/sigのうち20mm以上は3例(24~45mm)でいずれもmでsm2の平均腫瘍径は15.6mm(7~25)でsm2にpor/sigの症例はなかった。また、多発癌症例が7例あり、うち1例に術後3年、残胃癌(L, IIc,m)を認めた。P.P.Gは平均手術時間,平均出血量,術後平均入院日数において対照群に比べ手術評価は良好で、術後評価についてはP.P.G(平均観察期間47ヶ月)は対照群に比べ吻合部狭窄が1例多かったがダンピング症状および再発は認めなかった。2. リンパ節転移状況からみたP.P.Gの適応:DG 429例中リンパ節転移例は39例(9.1%)あり再発は1例(45mm,IIc,sig,sm 2)であった。転移状況をみると肉眼型,組織型に関係なく20mm未満のm, sm 1に転移は認めず、また、No 5,No 1転移は4例でいずれも25mm以上の小弯後壁病変であった。mが1例(30mm, IIc, por)で,他は全てsm2であった。分化型は35mm,IIa+IIc,sm2の1例であった。〈結語〉20mm未満のm,sm1 をP.P.Gの一応の基準として行ってきたが根治性を損なわず,術後成績も良好であった。今後は分化型であればm, sm1については問題なく,sm2でも35mm未満の隆起型まで適応を拡大できると考える。 |
索引用語 |
P.P.G, 早期胃癌 |