セッション情報 パネルディスカッション6(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

非切除胆道癌の治療のコンセンサス

タイトル 消PD6-8:

切除不能胆嚢癌における動注化学放射線療法の検討

演者 後藤 拓磨(旭川厚生病院・消化器科)
共同演者 柳川 伸幸(旭川厚生病院・消化器科), 齋藤 博哉(旭川厚生病院・放射線科)
抄録 目的:切除不能胆嚢癌症例の予後規定因子を検討するとともに,抗腫瘍療法についてRetrospectiveに解析した.特に動注化学放射線療法(AI+RT)の有用性について検討した.対象・方法:2004年1月から2011年1月までに当院で経験した切除不能胆道癌124例のうち,予後の追跡が可能であった胆嚢癌41例を対象とし,予後規定因子につき比例ハザードモデルを用いて検討した.また,抗腫瘍療法の治療効果は,奏功率(RR)・病勢コントロール率(DCR)と50%生存期間(MST)を示し,生存期間をKaplan-Meier法で比較した.成績: 25項目を用いた単変量解析で,有意な予後規定因子であったのはPerformance Status不良,黄疸,肝転移,動脈浸潤,抗腫瘍療法,AI+RT,GEM,CDDP,治療奏功の有無であった(p<0.05).多変量解析では,腫瘍因子として肝転移の有無(オッズ比6.074,p=0.0099),治療因子としてAI+RTの有無(オッズ比16.209,p=0.0220)が単独で有意な予後規定因子であった. 41例の胆嚢癌において,抗腫瘍療法を施行したのは32例で,その内訳はAI+RT施行群22例(Stage3:2例,Stage4a:5例,Stage4b:15例),動注併用化学療法群2例(Stage4b:2例),全身化学療法単独群8例(Stage4b:8例)であった.BSC群9例(Stage4a:3例,Stage4b:6例)と抗腫瘍療法群32例の生存期間を比較すると,MSTは11.0Mo/2.5Mo(p=0.0003),1年生存率は43.8%/22.2%であり,抗腫瘍療法群で生存の延長を認めた.AI+RT施行群とその他の治療群を比較すると,抗腫瘍効果は,AI+RT施行群/その他の治療群で,CR1例/0例,PR9例/1例,SD11例/2例,PD1例/6例,RR45.5%/11.1%,DCR95.5%/33.3%であった.MSTは16.5Mo/6.0Mo(p=0.0329),1年生存率は54.5%/20.0%であり,AI+RT施行群で高い抗腫瘍効果と生存の延長を認めた.結語:切除不能胆嚢癌において,肝転移,AI+RTの有無が予後規定因子であった.AI+RTは,高い抗腫瘍効果が得られ,予後を改善すると考えられた.今後は,維持全身化学療法および多施設でのStudyを検討している.
索引用語 胆道, 腫瘍