セッション情報 一般演題

タイトル 174:

食道静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法(EIS)施行後脳梗塞を発症した一例

演者 工藤 洋子(熊本大学 第三内科)
共同演者 片瀬 香子(熊本大学 第三内科), 上村 克哉(熊本大学 第三内科), 牟田 龍史(熊本大学 第三内科), 伊藤 清治(熊本大学 第三内科), 桜井 宏一(熊本大学 第三内科), 藤山 重俊(熊本大学 第三内科), 松本 典子(熊本大学 神経内科)
抄録 症例は84歳、女性。平成3年、乳癌の手術の際、軽度の肝機能異常を指摘されたが放置していた。平成14年、近医にて黒色便を指摘されたことがあったが精査は行わず。同年4月2日、大量吐血し前医を受診し、上部消化管内視鏡にて食道静脈瘤破裂と診断され、内視鏡的結紮術(EVL)を施行された。その後、EVL、EISを数回施行されるも静脈瘤の縮小傾向がないため、追加治療目的にて7月8日当科入院となった。7月12日、食道静脈瘤(LsF3CbRC(+))に対してEIS施行。0°方向の静脈瘤に対しEIS及びEVL、5°方向の静脈瘤に対してEISを施行し、 5%E.O.total 13ml注入した。13日全身脱力感、14日左片麻痺が出現したため、頭部単純CT撮影。右中大脳動脈領域に多発性のLDAが認められ、脳梗塞と診断された。15日のCT、MRIで両側小脳半球、側頭後頭葉および前頭葉に多発梗塞巣が認められ、MRA上明らかな狭窄変化、動脈硬化性変化はなく塞栓性多発脳梗塞と診断された。塞栓源検索のため、経胸壁心エコーを施行したが、明らかな血栓及び血栓の存在を示唆するような僧帽弁疾患、低左心機能状態は認められず、ホルター心電図でも心房細動など認めなかった。また、肺換気血流シンチでも肺梗塞を示唆する所見は認められなかった。31日、経頭蓋カラードプラ法によるシャント検出を施行したところ、HITS(high intensity transient signal)とともに、AVシャントの存在が確認され、脳梗塞の原因としてEISの関与が判明した。EIS後の脳梗塞は非常に稀であるが、とくに高齢者などでは合併症の一つとして念頭におき治療すべきと思われた。
索引用語 内視鏡的硬化療法, 脳梗塞