セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 36:胃のEMRに伴う穿孔症例の取り扱いについて |
演者 | 渡邉 顕一郎(佐賀県立病院 好生館 内科) |
共同演者 | 緒方 伸一(佐賀県立病院 好生館 内科), 米村 智弘(佐賀県立病院 好生館 外科), 平田 祐造(佐賀県立病院 好生館 外科), 入江 康司(佐賀県立病院 好生館 病理) |
抄録 | 背景内視鏡的粘膜切除(EMR)は粘膜内に限局する癌や腺腫の治療法として、従来の外科的治療に代わって積極的に行われるようになってきた。EMRの様々な手法が確立されるにつれ、その適応も拡大されつつあるが、根治を目指すあまり、その合併症として出血や穿孔の危険性の増大が問題になっている。当院で経験したEMRに伴う穿孔例の取り扱いについて報告する。方法‘00年7月から‘02年6月までの期間に132例の胃のEMR症例を経験した。そのうち7症例に穿孔を生じた。手法、腫瘍径、切除径、穿孔径、炎症所見変化などについて検討した。結果手法の内訳はEMRLやEMRCなどの吸引法が4例、IT- EMRによるものが3例であった。腫瘍径は6mm~40mmで、切除径は12mm~50mm、穿孔径は1mm~25mmであった。炎症所見変化は白血球の上昇が+ 1000 /μl~+ 5200 /μl、CRPは 0.7 mg/dl~7.1 mg/dlの上昇が見られた。穿孔に加え止血困難なため手術となった1例のみに輸血が必要であった。結語‘00年6月以前においてEMR穿孔症例は1例も経験していない。諸学会での他施設のEMR穿孔後の良好な保存的治療報告の存在も大きな要因であったが、断端陽性率の減少や遺残再発の減少を目的としIT-EMR以外ではHSEを使用しないようにした。非手術例の6例は穿孔後、数日間の絶食と経鼻胃管留置および抗生剤の投与を行った。白血球の減少傾向、腹膜刺激症状を認めない、内視鏡で穿孔部の消退を確認、内視鏡後にfree airの増加を認めない、などの条件を満たした場合に食事を再開した。穿孔後は1週間前後で退院している。また手術例を含めたすべての症例において切除断端は水平・垂直ともに陰性であった。EMR時には穿孔を恐れるあまり十分な切除が行えない場合もあるが、穿孔を起こしたとしても多くは保存的に対応できるため、穿孔よりもむしろ遺残再発を恐れるべきであると考える。 |
索引用語 | EMR , 穿孔 |