セッション情報 一般演題

タイトル 111:

クエン酸モサプリド(ガスモチン)による薬剤性亜急性肝炎の1例

演者 野間 栄次郎(新日鐵八幡記念病院内科)
共同演者 梶原 英二(新日鐵八幡記念病院内科), 佐渡島 省三(新日鐵八幡記念病院内科), 金城 満(新日鐵八幡記念病院病理部)
抄録 症例は78歳、女性。2000年4月28日よりガスモチンを含めた胃薬3種類を投与。7月28日 GPT18 IU/l 。 8月19日GPT 81 IU/l。 9月8日 GOT 218 IU/l, GPT 213 IU/lと上昇し、内服薬すべて中止したにも関わらずさらに肝機能悪化したため、’00年9月22日入院。 WBC 4900/μl (Eos 1.8 %), プロトロンビン時間 68.8 %, T.Bil 1.0 mg/dl, GOT 379 IU/l, GPT 342 IU/l 。ANA軽度陽性(80x)であったが、その他自己抗体は陰性、IgGも正常で、ウイルスマーカーはすべて陰性であった。 10月2日 T.Bil 1.2 mg/dl, GOT 866 IU/l, GPT 702 IU/lで、1回目の肝生検では 肝小葉の帯状壊死が散見された。SNMC100ml 開始し、トランスアミナーゼ低下するも、10月25日T.Bil 3.6 mg/dl と上昇し プロトロンビン時間 44.6 %と低下したため、 プレドニン投与開始するもその後腹水貯留を認めた。11月27日 2回目の肝生検では肝小葉改築傾向(CH,A2F3)を認めた。 また入院前のCTと比較して入院2か月後の体部CTでは明らかな肝萎縮が認められた。 その後肝機能改善し退院。 2001年2月22日にプレドニン中止。 3月21 日GPT 10 IU/l。3月29日胃もたれに対し、再びガスモチン投与。4月25日尿褐色化出現し、5月1日再入院。 T.Bil 1.9 mg/dl, GOT 1275 IU/l, GPT 987 IU/l。DLST(ガスモチン)陰性。 プレドニン再投与により肝機能は安定化した。 本症例はガスモチンの再投与により肝障害が確認されたため、ガスモチンによる薬剤性肝障害と診断された。1回目の肝障害はガスモチン投与後113日目で、2回目は33日目であり再投与では肝障害出現までの期間の短縮がみられた。本症例では薬剤中止したにも関わらず、黄疸、腹水が出現し、肝萎縮型の亜急性肝炎の経過を示した興味ある症例であった。
索引用語 薬剤性肝障害, 亜急性肝炎