抄録 |
【目的】非切除胆道癌に対する胆道ステント別の治療成績を比較し,現時点における胆道ステントの選択方針について検討する.【方法】2010年12月までに胆道ステント留置術を行った非切除胆道癌305例を対象とし,肝外と肝門部胆道閉塞に分けて胆道ステント別の治療成績について調査した.【結果】肝外150例,肝門部155例.使用ステントは肝外;Plastic Stent(PS)79例,Covered Metallic Stent(CMS)71例,肝門部;PS70例(片葉48例,両葉22例),Metallic Stent(MS)85例(片葉30例,両葉55例).[肝外](PS/CMSの順)原疾患;胆管癌59/57,胆嚢癌11/9,乳頭部癌9/5,臨床病期(Stage-3:4a:4b)1:30:48/2:27:42.放射線外照射18/13例,化学療法23/16例に施行した.50%開存期間はPS58日/CMS181日で,CMSの方が有意に開存期間が長かった(p<0.0001).開存期間に影響を与える因子の多変量解析ではステントの種類(CMS>PS,p<0.0001),放射線外照射の有無(有>無,p=0.0028),原疾患(胆嚢癌>胆管癌・乳頭部癌,p=0.0082)が有意な因子であった.ステント閉塞はPS57例(72%)/CMS42例(59%)にみられ,閉塞理由は胆泥39/24,Overgrowth14/12,逸脱3/6例.閉塞時に内視鏡的再内瘻化可能であったのはPS47例(82%)/CMS34例(81%)と同等であった.[肝門部](PS/MSの順)原疾患;胆管癌31/49,胆管細胞癌25/18,胆嚢癌14/18,臨床病期(Stage-3:4a:4b)13:32:25/13:25:47.放射線外照射23/29例,化学療法24/22例に施行した.50%開存期間はPS70日/MS385日で,MSの方が有意に開存期間が長かった(p<0.0001).多変量解析ではステントの種類(MS>PS,p<0.0001),臨床病期(Stage-3/4a>4b,p=0.0239)が有意な因子であった.ステント閉塞はPS51例(73%)/MS38例(45%)にみられ,再内瘻化が不可能であったPS5例(10%)/MS12例(36%)のうち,MS両葉留置が11例と多くを占めた.【結語】肝外閉塞ではCMSで長期開存が得られるが,胆管癌ではOvergrowthを見越して胆管狭窄長より長めのCMSを選択する必要がある.肝門部閉塞ではMSで長期開存が得られるが,両葉留置では閉塞時治療を考慮した上でMSを選択する必要がある. |