セッション情報 一般演題

タイトル 60:

当院における重症急性膵炎の治療経験

演者 柏田  知美(唐津赤十字病院赤十字病院 外科)
共同演者 酒井 正(唐津赤十字病院赤十字病院 外科), 石光 寿幸(唐津赤十字病院赤十字病院 外科), 橋口 和義(唐津赤十字病院赤十字病院 外科), 下西 智徳(唐津赤十字病院赤十字病院 外科), 隅 健次(唐津赤十字病院赤十字病院 外科), 牧 孝将(唐津赤十字病院赤十字病院 外科), 田渕 正延(唐津赤十字病院赤十字病院 外科), 湯ノ谷 誠二(唐津赤十字病院赤十字病院 外科)
抄録 今回我々は過去2年間に経験した重症急性膵炎5例の臨床経過につき若干の文献的考察を加え報告する。 症例は32歳から55歳までのいずれも男性。厚生省特定疾患難治性膵疾患調査研究班が定める急性膵炎重症度スコアでStage2が3例、Stage3が2例。いずれも動注療法を施行した。成因としてアルコール性が3例、胆石膵炎が2例。外科治療を追加したものが1例、CHDFを施行したものが2例、人工呼吸器管理を必要としたものが2例であった。重症度分類ではアルコール性はいずれもStage2であり生存しているが、胆石膵炎は2例ともStage3であり残念ながら死亡した。 当院では重症急性膵炎と診断した症例に関しては入院当日より動注療法を施行することとしている。経過良好であった生存例3例については開始後3日目より腹痛は著明に軽快し、Amylaseの正常化に伴い炎症所見も軽快した。死亡例については1例は動注療法施行中に呼吸状態の悪化を認め人工呼吸器管理を開始し全身状態は改善傾向にあったが、膵体尾部の壊死による膿瘍を形成しNecrosectomyおよび閉鎖ドレナージを施行したが術後44日目に膵内動脈瘤破裂により死亡した。もう一例については人工呼吸器管理中の呼吸状態悪化が原因で死亡している。厚生省の全国集計結果では、重症急性膵炎の致死率は1982~1986 30% 1995~1998 21%と動注療法を含めた治療法の進歩に伴い救命率は向上してきていることが伺えるが、致死率は依然として高く、早期に適切な治療を適宜選択していくことが必要と思われる。
索引用語 重症急性膵炎, 局所動注療法