セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 268:大腸LST(laterally spreading tumor)に対するcutting法を用いた内視鏡的粘膜切除術(cutting-EMR)の適応拡大について |
演者 | 山口 直之(国立病院長崎医療センター) |
共同演者 | 宿輪 三郎(国立病院長崎医療センター), 関田 孝晴(国立病院長崎医療センター), 大住元 秀明(国立病院長崎医療センター), 中尾 実紀子(国立病院長崎医療センター), 植木 俊仁(国立病院長崎医療センター), 大黒 学(国立病院長崎医療センター), 長岡 進矢(国立病院長崎医療センター), 石橋 大海(国立病院長崎医療センター), 向原 茂明(国立病院長崎医療センター), 鶴田 英夫(国立嬉野病院), 小田 英俊(健康保険諫早総合病院), 村田 育夫(長崎大学 大学院 薬学治療学), 西山 仁(長崎大学 医学部 第2内科), 河野 茂(長崎大学 医学部 第2内科) |
抄録 | 【緒言】IT-knifeや細径スネアを用いた内視鏡的粘膜切除術(cutting-EMR)は近年早期胃癌の治療に導入されその有用性が報告されているが、大腸での有用性を検討した報告例は少ない。今回我々は大腸LSTに対しcutting-EMRを導入し有用性を検討したので報告する。【対象】2001年7月より2002年8月までに当院でIT-knifeや細径スネアを用いて内視鏡的粘膜切除術施行した大腸粘膜内上皮性腫瘍(20mm以上)9例を対象とした。性別は男性4例、女性5例、年齢は60~84歳で平均73.0歳であった。疾患は癌1例、腺腫内癌2例、腺腫6例で、部位は盲腸1例、上行結腸2例、下行結腸2例、S状結腸2例、直腸2例であった。【検討項目】(1)切除径、腫瘍径、(2)分割数、(3)根治度、(4)合併症【成績】(1)切除径:21~50mm(平均:31.7mm)、腫瘍径:12~40mm(平均:23.1mm)、(2)1.78個、(3)EA:44.4%(4例),EB:55.6%(5例),EC:0.0%(0例)、再発0例、(4)穿孔3例(うち手術例なし),出血0例【考察】今回、我々は径20mm以上の大腸粘膜内上皮性腫瘍に対してIT-knifeや細径スネアを用いcutting-EMRを施行した。病変の平均切除径は31.7mm(平均腫瘍径:23.1mm)とかなり大きいにもかかわらず、9症例中7症例が一括切除できており(平均分割数:1.78個、一括切除率:77.8%)、cutting-EMRは胃腫瘍のみならず大腸粘膜内上皮性腫瘍に対しても有用であると考えられた。また今回根治度がEA症例44.4%と低値であったが、穿孔等の合併症を考慮し腫瘍切除の際のmarginを少なくしているため、腫瘍剥離時に周囲の正常粘膜が挫滅しEBとなった。しかし、内視鏡的には全症例とも完全切除できていると考えられ、現在、組織学的に断端陽性と判定された5症例に関しても現時点では再発例は認めていない。また、合併症として穿孔症例を3例経験しているが、全症例とも小穿孔であり内視鏡的クリップ縫合および抗生剤投与等の保存的療法のみにて対処可能であった。従来、operationにて治療していた比較的大きな大腸LSTがcutting-EMRの導入より内視鏡的に切除可能と思われる。 |
索引用語 | 大腸LST, cutting-EMR |