共同演者 |
永田 智之(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 下川原 尚人(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 岩切 裕二(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 宇都宮 民治(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 大重 和典(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 内園 均(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 山口 淳正(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 中村 晃子(鹿児島市医師会病院 外科), 島元 裕一(鹿児島市医師会病院 外科), 溝内 十郎(鹿児島市医師会病院 外科), 田畑 峯雄(鹿児島市医師会病院 外科), 迫田 晃郎(鹿児島市医師会病院 外科), 清水 健(鹿児島市医師会病院 病理) |
抄録 |
【はじめに】胃癌の中には、稀ながら粘膜構造を保ったまま、深部まで浸潤するものが存在する。このような例では粘膜表面の露出部分が小さく、肉眼的には粘膜下腫瘍(以下SMT)の形態をとるため診断に苦慮することが多い。今回我々はSMTの形態を示し手術を施行した胃癌2症例を経験したので報告する。【症例1】77歳、女性。CTにて胃壁肥厚を認め胃癌が疑われた。上部消化管内視鏡検査にて胃体上部後壁に約2cm大のSMT様隆起あり。僅かな粘膜欠損部を生検し病理組織検査でGroup III~Vを認め手術となった。術後病理診断ではPoorly differentiated adenocarcinoma with lymphoid stroma〔p Type 0 I, T1(SM2), 16×12mm〕であった。【症例2】47歳、男性。検診の腹部超音波検査にて膵尾部の腫瘍を指摘された。その後のCT・MRIにて膵臓には異常を認められなかったが、胃体上部小彎側の壁肥厚と周囲リンパ節腫脹を認めた。腫瘍マーカーはCEA 81.1, CA19-9 829と高値。上部消化管内視鏡検査にて胃体中部後壁に約5cm大のSMT様隆起あり。当院での生検(2回施行)ではmalignancyを認めなかったが、紹介医での生検の病理組織検査でGroup Vを認めていたため手術となった。術後病理診断:Poorly differentiated adenocarcinoma with signet-ring cells and mucin production〔p Type 0 I, T2(SS), 49×38mm〕であった。【まとめ】 今回の症例は内視鏡施行前からCT等で胃癌を疑われていたが、大部分が正常粘膜に覆われており、内視鏡上SMTに類似した形態を呈していた。内視鏡的またはX線的にSMTが疑われた場合、今回のようなケースを念頭に置き慎重に対処する必要がある。 |