セッション情報 |
パネルディスカッション6(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
非切除胆道癌の治療のコンセンサス
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タイトル |
内PD6-10:切除不能胆道癌に対するメタリックステントによるマルチステンティングの有用性
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演者 |
加藤 博也(岡山大病院・消化器内科) |
共同演者 |
岡田 裕之(岡山大病院・消化器内科), 山本 和秀(岡山大病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】切除不能胆道癌に対して化学療法を継続して行うためには黄疸や胆管炎のコントロールが重要であり、特に肝門部胆道狭窄を伴う胆道癌においては必須である。当院ではこれらの症例に対し、メタリックステント(以下MS)のマルチステンティングを併用した化学療法を行っており、その有用性について検討した。【対象と方法】対象は2003年3月から2010年12月までにMSのマルチステンティングを行った肝門部胆道狭窄を伴う切除不能胆道癌症例のうち化学療法を施行した59例。患者背景は平均年齢66歳(52-78)、男女比38:21、胆管癌45例(77%)、胆嚢癌14例(23%)、観察期間中央値262日(41-1731)であった。これらの症例に対しpartial stent-in-stent法によるMSのマルチステンティングを行った後、塩酸ゲムシタビン(GEM)もしくはTS-1による化学療法を行った。MS閉塞に対してはMS内のプラスチックステント(以下PS)留置により化学療法を継続することとし、生存期間、MSの開存期間、MS閉塞後の処置回数と生存期間について検討した。【成績】化学療法の内訳はGEM:TS-1=46:13、全体の生存期間中央値は262日(41-1731)、MSの開存期間中央値は139日(12-1590)であった。抗腫瘍効果はdisease control(DC): progressing disease(PD)=34:25であり、disease control rateは58%であった。抗腫瘍効果別の50%生存期間はDC群で486日、PD群で137日、50%開存期間はDC群で366日、PD群119日であり、生存期間、開存期間ともDC群で有意に延長していた(p<0.01)。DC群34例中MSの閉塞によりPS留置を行ったのは21例(62%)であり、MS閉塞後生存期間中央値は273日(87-839)、PSの交換回数中央値は4回(1-16)であった。DC群のMS閉塞例21例中、化学療法の再開が可能であったのは18例(86%)であり、いずれの症例も外瘻を必要としなかった。【結論】MSのマルチステンティングを併用した化学療法は有用であり、DC群についてはMSの閉塞後もPSの留置、交換を行うことで、化学療法の継続が可能であり予後の延長も期待できる。 |
索引用語 |
胆道癌, メタリックステント |