セッション情報 一般演題

タイトル 188:

内視鏡的粘膜切除術により診断し得た食道脂腺の1例

演者 関田 孝晴(国立病院長崎医療センター消化器内科)
共同演者 宿輪 三郎(国立病院長崎医療センター消化器内科), 山口 直之(国立病院長崎医療センター消化器内科), 中尾 実紀子(国立病院長崎医療センター消化器内科), 大住元 秀明(国立病院長崎医療センター消化器内科), 伊東 正博(国立病院長崎医療センター消化器内科), 石橋 大海(国立病院長崎医療センター消化器内科), 向原 茂明(国立病院長崎医療センター消化器内科), 福田 英一郎(長崎大学医学部原研病理), 鶴田 英夫(諫早総合病院), 村田 育夫(長崎大学大学院薬学治療学), 西山 仁(長崎大学医学部第2内科), 磯本 一(長崎大学医学部第2内科), 河野 茂(長崎大学医学部第2内科)
抄録 【緒言】食道脂腺とは、食道粘膜に見られる異所性脂腺であり、非常に稀な疾患であるが、近年の内視鏡の普及により、偶然発見されるケースが増えてきている。我々は、食道黄色腫疑いで紹介を受け、内視鏡的粘膜切除術により診断し得た食道脂腺の1例を経験したので報告する。【症例】44歳 女性 【主訴】なし 【既往歴】十二指腸潰瘍(19歳時~)、子宮筋腫・内膜症 【現病歴】十二指腸潰瘍に対して近医でフォローされており、定期の上部消化管内視鏡施行したところ食道にルゴール不染の黄色調病変を認め早期食道癌を疑われ、当院へ紹介入院となった。【入院時現症】身体所見上異常なし。【検査】血液生化学所見:異常なし【内視鏡所見】2002年6月13日:門歯より28cmの部位に黄色調の隆起性病変を認めた。中心部は、やや陥凹を認め、ルゴールで染色されなかった。高分化型の早期食道癌を疑い、EMR施行した。【病理診断】Heterotopic sebaceous gland(異所性脂腺)であった。【考察】1961年にDe La Pavaらが最初に報告して以来1996年末までで54例が報告されている。うち37例が本国での報告例である。最近の報告ではわが国の内視鏡症例中0.2~0.8%に食道脂腺が認められる。外胚葉由来の脂腺がなぜ内胚葉由来の食道にみられるのかその起源は未だに分かっていない。食道脂腺の多くは黄色の隆起~結節状を呈し大きさは1から5mm程度で、特徴的な臨床症状は見られず、無症状のことが多いが、胸焼け、心窩部痛などの症状が報告されている。食道脂腺の存在を念頭において内視鏡施行することで、これからも報告例は増加していくものと思われる。【結語】食道癌との鑑別を要する食道脂腺の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告した。
索引用語 食道脂腺, 異所性脂腺