セッション情報 一般演題

タイトル 186:

Amelanoticからmelanotic typeへと色調変化をきたした食道原発悪性黒色腫の1例

演者 真喜志 知子(琉球大学 医学部 第一内科)
共同演者 富盛 宏(琉球大学 医学部 第一内科), 岩下 秀彦(琉球大学 医学部 第一内科), 川根 真理子(琉球大学 医学部 第一内科), 宮城 剛(琉球大学 医学部 第一内科), 岸本 一人(琉球大学 医学部 第一内科), 仲本 学(琉球大学 医学部 光学医療診療部), 宮里 史郎(琉球大学 医学部 光学医療診療部), 内間 庸文(琉球大学 医学部 第一内科), 平田 哲生(琉球大学 医学部 第一内科), 外間 昭(琉球大学 医学部 第一内科), 金城 渚(琉球大学 医学部 光学医療診療部), 佐久川 廣(琉球大学 医学部 第一内科), 金城 福則(琉球大学 医学部 光学医療診療部), 斎藤  厚(琉球大学 医学部 第一内科)
抄録 食道原発悪性黒色腫は稀な疾患であるが腫瘍に黒色調の色素沈着があれば診断は比較的容易である。今回我々は初回内視鏡検査では色素沈着を認めなかったが、2か月後の検査にて食道病変のほぼ全てがamelanoticからmelanotic typeへと色調変化をきたし診断に至った症例を経験したので報告する。症例は59歳男性。平成14年2月頃より全身倦怠感、食思低下が出現し当科を受診。上部消化管内視鏡検査では腫瘍は食道下部を中心に多発する灰白調な粘膜下腫瘍様隆起として認められ、腫瘍は胃噴門部まで及んでいた。諸検査の結果肝転移、肺転移を認め、ガリウムシンチで下部食道、上腹部リンパ節、全身の骨に異常集積を認めた。食道病変の病理検査ではTcell 、Bcellマーカーは陰性だがCD56陽性でありNK細胞リンパ腫の診断のもとCHOP療法を1クール施行した。しかしその後の食道の病理検査にて食道小細胞癌が疑われ、肺小細胞癌に準じてCDDP,CPT-11による化学療法を施行した。効果判定目的に行った2か月後の上部消化管内視鏡検査では、食道の腫瘍性病変は縮小傾向を示し黒色調へと色調変化をきたしていた。この時点で悪性黒色腫が疑われ、組織学的にもS-100蛋白、HMB45染色が共に陽性であることから食道悪性黒色腫と診断した。また初回の病理組織でもS-100蛋白、HMB45染色陽性が確認され、初回検査時はamelanotic typeの悪性黒色腫であったと思われた。悪性黒色腫の病勢を鋭敏に反映するといわれる血中5-S-CDも200nMOL/L以上と高値を示した。CDDP,CPT-11による化学療法でガリウムシンチの異常集積が全て消失し、食道原発巣、肝転移巣、腹腔内リンパ節転移巣が縮小傾向であったため同治療を2クール施行したが奏功せず、脳転移、骨転移、癌性髄膜炎を併発し約半年の経過で死亡された。本症例のようにamelanoticからmelanotic typeへと変化をきたした食道原発悪性黒色腫の報告はほとんどなく、稀であると考えられたため文献学的考察を加え報告する。
索引用語 食道悪性黒色腫, 無色素性