セッション情報 パネルディスカッション6(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

非切除胆道癌の治療のコンセンサス

タイトル 内PD6-11:

非切除中下部悪性胆道狭窄に対するEMSの選択 - Axial Forceの視点から-

演者 丸山 雅史(信州大・消化器内科)
共同演者 村木 崇(信州大・消化器内科), 新倉 則和(信州大・内視鏡センター)
抄録 【目的】非切除中下部悪性胆道狭窄に対する経乳頭的metalic stent(MS)留置についてretrospectiveに検討する。【対象】当科及び関連施設で2001年から2011年2月までに非切除中下部悪性胆道狭窄に対して経乳頭的にMS留置した174例。膵癌:PC群 114例、胆管癌+胆嚢癌:BT群 53例、リンパ節転移 24例、乳頭部癌 7例。【方法】疾患別、Coverの有無、ステントの種類(CW:Covered wall 70例、F:Bare Flexxus+Luminexx 24例、CD:Covered diamond 35例、CN:Covered Niti-S 37例) 、乳頭出し・EST・化学療法・放射線療法の有無、time to dysfunction、胆嚢炎発症、ステントの逸脱、閉塞原因、開存期間と生存期間について解析した。【結果】50%開存期間:BT群(193日)はPC群(493日)に(p=0.001)、CN群(243日)はCW群(422日)に(p=0.031)、乳頭出しの無群(241日)は有群(410日)に(p=0.084)比して優位に開存期間が短かった。多変量解析では疾患別(BT/PC OR 0.361)とステント種類(CN/CW OR 0.37)が優位な因子として抽出された。Axial Force(AF):屈曲部より2cmの所でステントを60°押し曲げる力(N)は、CW(0.95)、F(0.51)、CD(0.46)、CN(0.04)と報告されているが、BT群における50%開存期間はCW群(422日)、F群(352日)、CD群(193日)、CN群( 81日)であり、50%開存期間とAFとの間に正の相関(相関係数 0.92)を示した。また, 胆泥・残渣によるステント閉塞率は、CW群(6% 1/17)、F群(14% 1/7)、CD群(18% 2/11)、CN群(30% 3/10)とAFとの間に負の相関(相関係数 -0.99)を示した。PC群では上記に相関を認めなかった。生存期間:関連する因子は抽出されなかった。【結論】膵癌ではステントの種類間で各因子に差を認めず、胆管・胆嚢癌ではカバーの有無よりはAxial Forceの強い金属ステントで胆泥・残渣による閉塞率が低くステント開存期間が長かった。中下部悪性胆道狭窄に対する経乳頭的MS留置では乳頭出しで留置し、胆管・胆嚢癌ではAxial Forceの強いステントを選択することにより開存期間を延ばせる可能性がある。
索引用語 中下部悪性胆道狭窄, EMS