セッション情報 一般演題

タイトル 56:

高脂血症を誘因として急激な臨床経過を呈した重症急性膵炎の一例

演者 佐藤 公昭(福岡県立 消化器医療センター朝倉病院)
共同演者 長 竜彦(福岡県立 消化器医療センター朝倉病院), 井上 欣哉(福岡県立 消化器医療センター朝倉病院), 古賀 裕之(福岡県立 消化器医療センター朝倉病院), 實藤 俊昭(福岡県立 消化器医療センター朝倉病院), 田口 順(福岡県立 消化器医療センター朝倉病院), 梶原 雅彦(福岡県立 消化器医療センター朝倉病院), 石井 邦英(福岡県立 消化器医療センター朝倉病院), 安倍 弘彦(福岡県立 消化器医療センター朝倉病院), 佐田 通夫(久留米大学第2内科)
抄録 症例は身長163cm,体重110kg,BMI41と高度の肥満を呈する29歳男性.既往歴に特記すべきことはない.平成14年6月頃より強い口渇感と多飲水状態が出現するも放置.7月7日昼より心窩部痛出現.7月8日症状増悪のため当院受診.意識清明,血圧160/70mmHg,脈拍140,体温38度.動脈血液ガスにてPH7.332,PO2 88.3,PCO2 22.2,HCO3 11.5,BE-11.7と代謝性アシドーシスを示し,血液生化学検査ではアミラーゼ1,610U/l,リパーゼ1,530IU/l,中性脂肪3,238mg/dlと膵酵素および中性脂質が著明に上昇していた.また,血糖値は320mg/dlと高値を示し,腹部造影CTにて膵の腫大(grade III)を認めた.重症急性膵炎(stage2 重症度スコア6点)と診断し,大量輸液,蛋白分解酵素阻害剤(メシル酸ナファモスタット,ウリナスタチン),抗生剤,インスリンの持続静脈内投与にて治療を開始した.治療開始18時間後突然の意識レベルの低下,血圧の低下,呼吸状態の悪化がみられ,人工呼吸管理等種々の治療にも状態改善せず入院27時間後永眠された.病理解剖が施行され,膵臓には広範な脂肪壊死がみられた.本症例は高脂血症を原因として急激な経過をたどった重症急性膵炎である.重症度スコア8点以上では血液透析や動注療法が必要である事が多い.本症例のように8点以下でも急速な経過をたどる例があり,予後判定の重要性と早期からの集中治療の必要性を考える上で,貴重な症例と思われたので報告する.
索引用語 重症急性膵炎, 高脂血症