セッション情報 一般演題

タイトル 68:

腹腔鏡補助下切除をおこなったMeckel憩室の一例

演者 長田 盛典(新小倉病院 外科)
共同演者 三好 圭(新小倉病院 外科), 中村 雅史(新小倉病院 外科), 堤 宣翁(新小倉病院 外科), 寺坂 禮治(新小倉病院 外科)
抄録  下血を主訴として術前にMeckel憩室と診断され、腹腔鏡補助下に切除し得た11歳男児を経験したので報告する。【症例】平成13年10月1日感冒症状が出現し近医を受診。10月5日に下血(新鮮血)が出現したため当院小児科を受診。血液検査で貧血(Hb 6.8 g/dl)を認め、全身倦怠感を伴っており精査目的で入院となった。 下血の精査のため上部・下部内視鏡検査を行ったが病変部位は指摘されなかった。99mTc pertechnetateシンチグラムを行い右下腹部に集積を認め、同部位の腹部エコーにて層状に腫大した小腸腫瘤を認めた。以上よりMeckel憩室による消化管出血と診断し腹腔鏡手術を行った。全麻下左下腹部にopen techniqueで5mm トラカールを挿入、5mm 斜視鏡を用いて6mmHg 気腹下に計4本のトラカールにて腹腔内を観察。回腸末端部より50 cm口側の回腸に腸間膜対側に突出する10 cm長のMeckel憩室を認めたが、臍腸管索状物は存在しなかった。迷入組織を全切除するため下腹部正中に4cmの皮切を行い、小開腹下に楔状切除を行い吻合した。切除標本では異所性胃粘膜を認め、同部位の潰瘍からの下血であると考えられた。術後経過良好にて第11病日に退院した。【考察】Meckel憩室に対する腹腔鏡手術は有用であり、小児外科領域でも急速に普及し診断的・治療的に用いられている。単純憩室切除で十分な場合には腹腔内にてGIA を用いて切除し、憩室基部が広い場合には、異所性粘膜を取り残し無く切除すべく、楔状切除を小開腹下に行われている。腹腔鏡手術は低侵襲であり腹腔全体の観察が可能であり、本疾患での普及が望まれる。
索引用語 Meckel憩室, 腹腔鏡手術