セッション情報 一般演題

タイトル 215:

IPMT術後に肺及び肝転移を伴う大腸癌を併発した1例

演者 田村 徹郎(九州大学 医学部 第1外科)
共同演者 小倉 康裕(九州大学 医学部 第1外科), 許斐 裕之(九州大学 医学部 第1外科), 山口 幸二(九州大学 医学部 第1外科), 田中 雅夫(九州大学 医学部 第1外科)
抄録 Intraductal papillary- mucinous tumor (IPMT)は膵管上皮由来の粘液産生腫瘍であり、その特徴として、20‐30%に多臓器癌を合併することが知られている。今回、我々はIPMT切除術後2年で肺及び肝転移を伴う大腸癌と診断され右半結腸切除術を施行した1例を経験したので報告する。症例は78歳女性。糖尿病精査中に診断されたIPMTに対し、平成12年2月9日膵体尾部切除術・脾臓摘出術を施行された。病理組織学診断はintraductal papillary adenocarcinoma,minimally invasiveの主膵管型であった。術後経過良好、退院後外来にて経過観察されていた。平成13年10月にsubileusにて入院するも保存的治療にてすぐに症状軽快したため退院、外来にて経過観察となった。平成14年3月に施行した腹部CTにて肝右葉及びS4に転移性腫瘍を、さらに4月に施行した胸部CTにて両肺に多数の結節を指摘された。多発した肝、肺転移と診断されるも高齢にて化学的治療は施行せず経過観察としていた。しかしながら貧血が進行するとともに(Hb:13年10月:12.9g/dl→14年5月:9.4g/dl)腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)上昇の持続、さらに右下腹部痛の出現から、同年5月消化管精査目的で入院となった。注腸造影にて回盲部にApple core sign、内視鏡にても同部にほぼ全周性の隆起性病変を認め、大腸癌 (C,type1,95×55mm,SE,P0,H2,M(+),N3(+) stage IV)と診断された。肝、肺転移は大腸癌が原発とも考えられ、イレウス予防、貧血の改善のため、同年6月7日、右半結腸切除術、リンパ節廓清(D2)を施行された。術後経過良好で腫瘍マーカーも低値となった。高齢にて術後補助療法は行わないこととし、現在外来経過観察中である。本症例の問題点として、IPMTは多臓器癌を合併しやすい特徴があり、IPMT診断時には多臓器精査を行うことが必要である。また切除後においても上記特徴を念頭において経過観察を行うことが重要である。
索引用語 IPMT, 大腸癌