セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 178:胃潰瘍を合併した特発性食道粘膜下血腫の一例 |
演者 | 旭吉 雅秀(魁成会宮永病院) |
共同演者 | 島 雅保(魁成会宮永病院), 山本 章二朗(宮崎医科大学第2内科), 山縣 美奈子(魁成会宮永病院), 宮崎 博臣(魁成会宮永病院), 夏田 康則(魁成会宮永病院), 千々岩 一男(宮崎医科大学第1外科), 坪内 博仁(宮崎医科大学第2内科) |
抄録 | 症例は73歳の女性。10年前より高血圧、便秘にて内服加療をされていた。2002年8月上旬に心窩部痛が出現し、近医で上部消化管内視鏡検査を施行されたが、明らかな異常はみられなかった。その後は症状は自然に消失したが、8月25日頃より再度、心窩部痛、食後の心窩部の不快感が出現し、症状が改善しないため、28日に当院を受診した。受診当日の上部消化管内視鏡検査で、上部食道より食道胃吻合部まで連続する発赤調の隆起性病変がみられ、下部食道では同病変の上皮部に縦走潰瘍を認めた。また食道から連続性して胃噴門部に中央に血塊を伴う、比較的大きな円形のA1 stageの胃潰瘍を認めた。食道の隆起性病変は、胸部CTでは気管分岐部レベルから食道胃吻合部にかけて、食道の右背側壁を縦走に走行する低吸収域な軟部組織腫瘤として描出された。以上の所見より噴門部胃潰瘍を合併した食道粘膜下血腫と考え、絶食、lansoprazole内服にて加療した。この治療にて症状は徐々に改善し、治療約2週間後の上部消化管内視鏡検査では食道の粘膜下血腫は消失しており、胃噴門部には食道から連続する線状潰瘍瘢痕がみられ、噴門部胃潰瘍はH2 stageにまで縮小していた。その後、経口摂取を開始したが、症状の再燃はなく、経過は良好である。食道粘膜下血腫は稀な疾患である。原因として嘔吐や食物または異物の嚥下、迷走神経切断術、血友病、抗凝固剤内服、内視鏡的食道静脈治療などがあるが、本例では原因は不明であり、特発性食道粘膜下血腫と診断した。また本例のように胃噴門部潰瘍を合併した症例は非常に稀であり、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 食道粘膜下血腫, 噴門部潰瘍 |