セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
122:ガンシクロビル投与が著効したサイトメガロウイルス感染合併潰瘍性大腸炎の1例
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演者 |
駿河 理恵子(福岡大学筑紫病院 消化器科) |
共同演者 |
和田 陽子(福岡大学筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器科), 八尾 恒良(福岡大学筑紫病院 消化器科), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院 病理), 平井 郁仁(佐田病院 内科) |
抄録 |
症例は39歳の女性。全大腸炎型の潰瘍性大腸炎(以下UC)で、平成14年4月に再燃し、佐田病院を受診。ステロイド30mgの内服を開始するも自己中断し放置していた。同年6月、1日10回以上の粘血便、腹痛、発熱を認め、厚生省重症度分類で、重症と判断され、ステロイド強力静注療法、中心静脈栄養療法を開始。症状の改善が認められないため、7月より白血球除去療法を開始した。白血球除去療法4回終了時の内視鏡所見では、改善傾向は認められるものの、樹枝状潰瘍、炎症性ポリープ、易出血性粘膜を認めていた。またステロイド30mgにまで減量した時点で病勢の増悪を認め、治療抵抗性と考えられた。その際,サイトメガロウイルス(以下CMV)感染を疑い、CMV抗原を測定したところ、陽性であったため、精査加療目的にて当科紹介入院となった。入院時、20回以上の粘血便を認め、臨床的に重症と判断した。下部内視鏡検査では直腸、S状結腸から下行結腸に下掘れの深い縦走潰瘍が多発し、横行結腸には炎症性ポリープが密在していた。潰瘍底からの生検では封入体は認められなかったが、当院で測定したCMV抗原も陽性であったため,ガンシクロビル(以下GCV) 500mgを2週間投与した。GCV投与1週間で血便は消失し、便回数も著明に減少した。GCV投与終了時の内視鏡検査では、下行結腸の縦走潰瘍は著明に縮小し、CMV抗原も陰性化した。なお、この間ステロイド投与量は30mgを維持していた。GCV投与後はステロイド減量目的で白血球除去療法を追加施行し、寛解期へ導入できた。CMV感染はUCを難治化、重症化させることが知られているが、その病態については依然明らかにされた報告はない。当院での検討では、ステロイド抵抗性を有するUCの59%にCMV抗原陽性であった。本症例もステロイド抵抗性を有しており、前医での治療を変更することなく、GCV追加投与で病変の著しい改善がみられた。UCにおいて、治療抵抗性を有する症例に対しては積極的にCMV感染を疑い、すみやかにCMV感染に対する治療を行うことが必要であると考えられた。 |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, サイトメガロウルス感染 |