セッション情報 シンポジウム1

タイトル S1-002:

単発肝細胞癌の経皮的治療法による治療戦略

演者 堀 剛(宮崎医科大学 医学部 第二内科)
共同演者 岩切 久芳(宮崎医科大学 医学部 第二内科), 岩満 章浩(宮崎医科大学 医学部 第二内科), 蓮池 悟(宮崎医科大学 医学部 第二内科), 宇都 浩文(宮崎医科大学 医学部 第二内科), 加藤 順也(宮崎医科大学 医学部 第二内科), 林 克裕(宮崎医科大学 医学部 第二内科), 坪内 博仁(宮崎医科大学 医学部 第二内科)
抄録 【目的】肝細胞癌の治療において、経皮的治療(エタノール注入療法:PEIT,ラジオ波焼灼術:RFAなど)を当科にては積極的に導入している。今回、当科における治療成績を検討し、経皮的治療の有用性について報告したい。【方法】対象は1994年より、2001年10月までの期間において、当施設において施行したPEIT74結節、RFA99結節を対象に局所の再発率を検討した。さらに、HCCの初回治療において経皮的治療をうけた単発肝細胞癌患者80名(PEIT49例、RFA31例、child-pugh A 58名、child-pugh B 19名、child-pugh C 3名),80結節(平均腫瘍径22.4mm 最小径10mm最大径52mm)を対象として、その累積生存率を検討した。【成績】肝細胞癌の局所再発率に関する検討では、PEIT3年累積無再発率16.9%,RFA3年累積無再発率20.4%であり、PEITでは腫瘍径20mm以上、RFAでは腫瘍径25mm以上にて有意に高い局所再発率であった。単発の肝細胞癌患者において、初回に経皮的治療法を選択された80名の累積生存率は、1年92.5%。2年90.8%、3年84.9%、5年63.1%であった。これら、患者を結節の腫瘍径別に累積生存率を比較検討したが、腫瘍径25mm以上で1年85.2%。2年85.2%、3年77.4%、5年59.7%、腫瘍径25mm未満で1年96.2%。2年93.8%、3年88.3%、5年65.6%であり2群の間に有意な差は認めなった。しかしながら、基礎の肝硬変の予備能別にて生存率を比較するとchild-pugh A群で1年94.7%。2年94.7%、3年94.7%、5年72.7%、BおよびC群で1年87.0%。2年81.5%、3年60.8%、5年43.4%と有意に肝予備能によって生存率の差を認めた。【結論】経皮的治療による局所無再発率はPEIT,RFAともに良好であった。さらにこれらの患者における累積生存率は、腫瘍径に依存せず、基礎の肝予備能に影響されており、肝予備能の保たれている単発肝細胞癌にたいして経皮的の初回治療は有用であると考えられた。
索引用語 肝細胞癌, 経皮的治療