セッション情報 シンポジウム1

タイトル S1-011:

当科における肝細胞癌切除症例の検討

演者 北原 賢二(佐賀医科大学 一般・消化器外科)
共同演者 宮崎 耕治(佐賀医科大学 一般・消化器外科), 森 倫人(佐賀医科大学 一般・消化器外科), 平野 達也(佐賀医科大学 一般・消化器外科), 眞方 紳一郎(佐賀医科大学 一般・消化器外科), 松山 悟(佐賀医科大学 一般・消化器外科), 下西 智徳(佐賀医科大学 一般・消化器外科)
抄録 【はじめに】HCCではPEIT/RFA/TAEなどの種々の治療法があり、肝切除においても部分切除から三区域切除までの術式が採用されており、施設ごとにその方針は異なっているのが現状である。【目的と方法】肝細胞癌切除症例210例の臨床病理学的検討を行い、宿主・腫瘍・治療因子などの予後関連因子を明らかにするとともに、長期生存例の臨床病理学的特徴や再発後治療を検証し、適切な術式(あるいは再発後治療法)選択の一助とする。【結果】HCC切除症例(210例)の全累積5年生存率は62.6%(10生率39.5%)で累積無再発5年生存率は31.5%(10生率19.2%)。8年以上長期生存群の肝癌再発率は17/23例(73.9%),平均再発時期は術後41カ月(±19)。初回再発個数は1個:11例;2個:5例;3個:1例であり4個以上の多発再発例は認められなかった。初回再発時平均腫瘍径は16.7mm(±7.6)で、腫瘍濃染像を示すものは10/17例(58.8%)であった。長期生存群では有意に切除時および初回再発時の腫瘍径が小さくと腫瘍個数が少なかった。また、1994年以前の全切除症例(70例)において多変量解析したところ、切除時においては有意な規定因子はないものの、初回再発時の腫瘍個数(3個以内 vs 4個以上)が唯一の予後規定因子であった(p<0.0001)。 また、術式別頻度はHr0群:18.5%、Hrs群:43.5%、Hr1群:17.5%、Hr2群:20.0%、Hr3群:0.5%。それぞれの群(Hr3群を除く)の累積5年生存率は55.6%、59.1%、63.6%、74.8%。それぞれの群の再発率は75.7%、50.6%、62.8%、52.5%。多変量解析での予後規定因子はHr0群、Hrs群ではvpの有無のみで、Hr1群、Hr2群ではvpの有無、術前ICG15’値、平均腫瘍径であった。【考察】切除時のみならず再発時の腫瘍径と腫瘍個数が長期生存に深く関与しており、再発時においても肝予備能に応じた確実な局所制御が不可欠である。また、切除術式別検討では各群ともにvpの有無が予後を規定しており、術前、特にvpが疑われる症例に対しては、術後補助化学療法の必要性が示唆された。
索引用語 肝切除, 長期生存