セッション情報 一般演題

タイトル 104:

後区域表在HCCに対する後腹膜鏡下MCTの経験

演者 長嶋 秀樹(国立大分病院 外科)
共同演者 中島 公洋(国立大分病院 外科), 穴井 秀明(国立大分病院 外科), 野田 尚一(国立大分病院 外科)
抄録 【目的】H8.4月~H14.3月の間に当科ではHCC焼灼80例を経験し、腹腔鏡・胸腔鏡など小創アプローチによる手術、胆摘・胆管内冷水寒流による胆道熱傷回避などの工夫を行ってきた。当科における焼灼療法の成績と、最近新たに経験した症例について報告する。【成績】当科でのHCC焼灼療法の総症例数は80例(マイクロ波凝固療法(MCT)が56例、ラジオ波熱凝固療法(RFA)が24例)、平均年齢65.9歳、男女比53対27、Child A 34、B 24、C 22、ICG 15分停滞率平均24.3%、平均腫瘍径26.4mm、平均手術時間127.8分、平均出血量120.7ml、平均術後在院日数17.3日であった。アプローチの方法は、腹腔鏡下、胸腔鏡下などの小創手術が55/80例で69%であった。また、焼灼療法後の累積5年生存率は50%であり、無再発生存率は5年で24%であった。次に焼灼療法の工夫の一つとして経験した後腹膜鏡下MCTについて報告する。症例は72歳男性、C型肝硬変でICGは14%。腹部CTで、右腎上極(右副腎レベル)付近でS7背側に突出する15mm大のHCCを認め、経皮的、胸腔鏡下のアプローチは場所的に困難で、開腹も本人が拒否的であったため、後腹膜鏡下MCTを施行した。左側臥位にて右側腹部より後腹膜鏡を挿入、右腎背方に達しPDBバルーンで術野を確保。右腎上極の右側に後区域からやや突出するHCCをエコーにて確認し、背中より4回、エコー用トロッカーより5回MCT針にて焼灼。手術時間は1:30で出血少量であった。経過良好で術後13日目に退院。PIVKA-IIが181→17と低下し、腹部CTでS7に十分広い焼灼域を確認した。【結論】HCCに対する焼灼療法80例のうち55例(69%)では小創アプローチで施行可能であった。当科でのHCC焼灼療法の5年生存率は50%であった。後腹膜鏡を用いたMCTは焼灼療法の選択肢の一つとして有用であった。
索引用語 肝癌焼灼療法, 後腹膜鏡下MCT