セッション情報 一般演題

タイトル 327:

胆嚢癌と肺癌の異時性重複癌の1例

演者 清水 輝久(佐世保中央病院 外科)
共同演者 重政  有(佐世保中央病院 外科), 羽田野 和彦(佐世保中央病院 外科), 荒木 政人(佐世保中央病院 外科), 碇  秀樹(佐世保中央病院 外科), 菅村 洋治(佐世保中央病院 外科), 國崎 忠臣(佐世保中央病院 外科), 米満 伸久(佐世保中央病院 病理部)
抄録 予後不良といわれる胆嚢癌と肺癌の異時性重複癌に対し手術を施行し、高齢にもかかわらず、良好な経過をとっている症例を経験したので報告する。症例は82歳女性。主訴:上腹部痛。既往歴:1997年12月、心疾患で近医受診中、胸部異常陰影を指摘され、精査加療目的で当科入院。右中葉に径3cmの腫瘤影を認め、1998年1月6日手術施行。胸腔鏡下に手術施行し、術中穿刺細胞診で腺癌の診断を得、胸腔鏡下右中葉切除を施行。3番のリンパ節を廓清したが、転移はみられず、Stage1の診断であった。現病歴:肺癌術後、心疾患とともに近医でフォロー中、1999年3月4日昼食後より、上腹部痛、嘔吐が出現。翌日、胆石症、胆嚢炎の診断で当科に紹介入院。入院時、身長136cm、体重30kgで、右上腹部に圧痛あり、白血球27800、GOT 625、GPT 602、LDH 978、CRP8.6と炎症反応、肝機能障害とも高度であった。絶食・抗生剤治療で加療しながら、精査をすすめ、胆石を伴った胆嚢癌と診断。全身状態改善後、4月1日手術施行。術中腹水、胆汁細胞診とも、陽性の診断があり、胆摘+肝床切除、リンパ節廓清で手術を終わる。腫瘍は胆嚢底部に存在し、結節型で2.5X2.0X1.0cmの大きさであった。術前血清CEA3.52ng/ml(~2.5)とやや高値で、胆汁中CEA1948.2、CA19-9 2832610U/mlと異常高値であった。胆嚢内には、2cmから1cm大の胆石を20ヶ認めた。腫瘍の病理診断は、深部浸潤は未分化の形をとる高分化型腺癌で、肝へは被膜を破壊して、浸潤がみられ、well, tub, si, hinf1b, n(-), bm0, hm0, em0であった。術後経過良好で、4月16日退院。外来でUFT400mgを1年間内服加療した。その後は近医と当院での加療、フォローアップを行っているが、第三癌の発現はみられず、2002年9月末現在、転移を認めず、元気に通院中である。
索引用語 胆嚢癌, 重複癌