セッション情報 |
ワークショップ1
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タイトル |
W-004:早期胃癌に対する内視鏡的粘膜切除術と胃局所切除術の比較検討
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演者 |
山口 真三志(福岡大学 医学部 第三内科) |
共同演者 |
前田 和弘(福岡大学 医学部 第三内科), 青柳 邦彦(福岡大学 医学部 第三内科), 向坂 彰太郎(福岡大学 医学部 第三内科) |
抄録 |
【目的】近年、QOLを考慮した早期胃癌の治療が提唱されている。内視鏡的粘膜切除術(EMR)の進歩に伴い、適応拡大が試みられている一方、EMRのよい適応でない例では胃局所切除術が行われるようになってきた。そこで、今回EMRと胃局所切除術を比較するために、適応と治療成績について検討した。【対象と方法】1994年1月~2001年8月に、当科でUl(-)の粘膜内癌と診断し治療した症例のうち、1年以上経過が追えた85例を対象とした。内訳は、EMR群70症例85病変、胃局所切除術群15例17病変である。病変の大きさ、肉眼型、部位(CMA)、組織型、深達度について比較検討した。なお、EMRの絶対適応は粘膜内癌、大きさ20mm以下、さらに陥凹型ではUl(-)としたが、この基準を満たさなくても一部の症例では相対適応としてEMRを行った。【結果】(EMR群vs胃局所切除術群)平均年令:68.8歳vs69.7歳。男女:59/11vs12/3。大きさ(10mm以下/11~20mm/21mm以上):31/42/12vs3/8/6。肉眼型(I/IIa/IIa+IIc/IIc):2/28/5/50vs2/3/1/11)。部位(C /M/A):6/37/42vs1/13/3。治療後の平均入院期間:10.4日、14.5日。深達度(m/sm1/sm2-3):82/1/2、13/4/0。組織型(tub1/tub2/por/sig/pap):72/11/1/1/0、11/2/2/1/1。再発:EMR群では14%(12/85)に認め、うち大部分(9/12)は分割切除例で、部位は手技的に一括切除が困難なC領域(3例)やM領域の後壁(5例)が多かった。絶対適応の12.7%(8/63)、相対適応の18.2%(4/22)で認めた。胃局所切除術群では6.7%(1/15)に認め、25カ月後に切除断端に再発した。【結論】粘膜内癌の治療として、EMRは低侵襲で入院期間が短いという長所を有するが、一括切除が困難な部位あるいは深達度診断が困難な例では限界がある。一方、胃局所切除術はEMRの短所を補う点で有用な治療法と考えられた。 |
索引用語 |
早期胃癌, EMR |