セッション情報 シンポジウム1

タイトル S1-001:

当院における肝細胞癌(HCC)の治療戦略

演者 植木 俊仁(国立病院 長崎医療センター)
共同演者 長岡 進矢(国立病院 長崎医療センター), 田浦 直太(国立病院 長崎医療センター), 古澤 千枝(国立病院 長崎医療センター), 矢野 公士(国立病院 長崎医療センター), 松本 武浩(国立病院 長崎医療センター), 大黒 学(国立病院 長崎医療センター), 八橋 弘(国立病院 長崎医療センター), 古賀 満明(国立病院 長崎医療センター), 石橋 大海(国立病院 長崎医療センター)
抄録 肝細胞癌(HCC)に対する治療法は、外科的切除、経皮的エタノール注入療法(PEIT)、マイクロ波凝固術、ラジオ波焼灼術(RFA)、腫瘍動脈塞栓術(TAE)、反復動注化学療法、肝移植など多岐にわたり、治療法選択の基準にも明確なものがないのが現状であり、当院においても治療法の選択について模索している状況である。(1)まず、初発HCCに対する治療の主流になりつつあるRFAの症例解析結果を示し、適応基準についても検討し紹介する。 (2)つぎに、現時点での当院におけるHCCに対する治療方針の概要を紹介する。(1) 1999年11月から3年間で当院においてRFAを施行し3ヶ月以上経過を観察しえた症例を対象とし、治療効果、腫瘍径における局所再発率を検討した。A判定(治療域が十分なもの)からの局所再発率は10%、B判定(安全域が一部十分でないもの)からは24%であった。また、腫瘍径2cm以下のものでの治療効果判定は7.9%、2cmを超えるものでは31.6%であった。RFAはPEITと比較して累積再発率は低い傾向にあった。RFAにおいて局所再発を防ぐためには、十分な焼灼範囲を得ることと、その適応を2cm以下にすることが望ましいと考えられた。2cmを超えるものに対しては、他の治療法と併用するなど集学的治療が必要であることが示唆された。(2) 基本的には肝予備能Child-Pugh grade A、B症例を肝細胞癌の積極的治療対象としている。腫瘍径2cm以下、2個以下のものは上述のごとく根治を目指したRFAの適応とする。RFA困難例、単発大腫瘍径例は外科的切除も考慮する。2cm、2個を超えるものについてはTAEを選択、あるいはTAE+RFA、PEIT+RFAなど複数治療を併用する。多数腫瘍例で肝予備能が良好な症例は反復動注化学療法を考慮する。門脈腫瘍塞栓例に対しては放射線治療も積極的に試みている。現在までのところ肝細胞癌に対し肝移植を行なった症例はない。
索引用語 肝細胞癌, 治療