セッション情報 一般演題

タイトル 230:

増大経過を追えたGISTの1例

演者 金山 兼司(原三信病院 消化器科)
共同演者 酒井 健二(原三信病院 消化器科), 福元 仁(原三信病院 消化器科), 西嶌 慎二(原三信病院 消化器科), 蓑田 俊二(原三信病院 消化器科), 江口 徹(原三信病院 外科), 河野 眞司(原三信病院 病理部)
抄録 症例は、75歳女性。狭心症、高血圧で当院加療中であった。1998年10月23日上部消化管内視鏡にて、胃穹窿部前壁に正常粘膜で被われた隆起病変が認められた。サイズは約30mmであった。超音波内視鏡では、胃体上部から穹窿部にかけて、第4層と連続する約20mm強のほぼ均一なhypoechoic massを認め、平滑筋腫に相当する所見と考えられ、経過観察とした。2001年8月より黒色便、ふらつきが出現。10月16日Hb7.1g/dlと貧血を認めたため、内視鏡検査を施行。EG-J前壁に大小の潰瘍形成を伴う正常粘膜で被われた隆起病変を認めた。新鮮血出血を認めたため止血処置を行い、加療のため同日入院となった。腹部CTにて、胃穹窿部内に約70mmの遅延相増強を呈する腫瘤を認めた。上部消化管X線透視検査では、胃穹窿部前壁に約85mmの頂上にニッシェを伴う正常粘膜で被われ、体位により内腔への突出度の変化する腫瘤を認めた。超音波内視鏡では、約70mmの第4層由来の2、3層におよぶほぼ均一エコー病変であり、頂上は粘膜欠損を伴い、サイズからも胃平滑筋肉腫が考えられた。10月31日外科にて胃噴門側切除術を行なった。病理組織学的検査にて、 Gastrointestinal stromal tumor, malignancyの診断であった。以上、約3年の経過で約20mmから約70mmへ増大し、潰瘍形成のため貧血を来した興味あるGISTの症例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。GISTに関しては、綿密な定期的フォローアップ検査の必要性が示唆された。
索引用語 GIST, Gastrointestinal stromal tumor, malignancy