セッション情報 一般演題

タイトル 125:

アメーバ性大腸炎の一例

演者 陣内 克紀(熊本地域医療センター 内科)
共同演者 立山 雅邦(熊本地域医療センター 内科), 吉田 元樹(熊本地域医療センター 内科), 安達 善充(熊本地域医療センター 内科), 清住 雄昭(熊本地域医療センター 内科), 明石 隆吉(熊本地域医療センター 内科), 相良 勝郎(熊本地域医療センター 内科), 蔵野 良一(熊本地域医療センター 病理部)
抄録 アメーバ感染症は近年、海外、特にアジア諸国などの熱帯・亜熱帯地方への旅行者数の増加や男性同性愛愛好者数の増加に伴い増加傾向にある。今回我々は男性同性愛愛好者におけるアメーバ性大腸炎の一例を経験したので報告する。症例:46才、男性。病歴:平成13年11月15日血液混じりの下痢が出現しており、同26日下腹部痛の増強あり、翌27日尿の流出が悪かったとのことで近医(泌尿器科)を受診し、前立腺炎と診断された。しかし、下痢が続くため30日に下部消化管内視鏡検査目的にて近医を受診したが、炎症が強いため検査できず、前医へ紹介入院、虫垂炎および穿孔による腹膜炎の診断で虫垂切除術施行された。しかし、術後も粘血便が持続し、偽膜性腸炎が疑われ、バンコマイシン内服開始するも改善見られず、次に潰瘍性大腸炎が疑われ、メサラジン内服やステロイド注腸施行していたが、12月5日に粘血便の増悪あり、精査加療目的にて当センター紹介入院となった。入院時現症では左下腹部に圧痛を認め、血液検査では白血球増加、CRP高値などの炎症所見と軽度の貧血、またB型肝炎によるトランスアミナーゼの高値を認めるのみであった。大腸内視鏡では直腸には全周性の潰瘍が、S状結腸では白苔を伴った潰瘍性病変が多数認められ、腹部CTでは上行結腸と直腸S状結腸壁肥厚浮腫像を認めた。生検にてアメーバ原虫を認めたため、翌6日よりmetronidazoleの内服を開始し、解熱および粘血便の消退を認めた。入院中にこの男性が同性愛愛好者であることが判明し、本人の同意の元にHIV感染を調べたところ陽性であった。
索引用語 アメーバ感染症, 大腸炎