セッション情報 一般演題

タイトル 180:

食道隆起性病変を合併した食道アカラシアの一例

演者 山本 章二朗(魁成会 宮永病院DELIMITER宮崎医科大学 第二内科)
共同演者 島 雅保(魁成会 宮永病院), 旭吉 雅秀(魁成会 宮永病院), 宮崎 博臣(魁成会 宮永病院), 夏田 康則(魁成会 宮永病院), 岩満 章浩(宮崎医科大学 第二内科), 宮田 義史(宮崎医科大学 第二内科), 林 克裕(宮崎医科大学 第二内科), 坪内 博仁(宮崎医科大学 第二内科)
抄録 症例は27歳の男性。1歳時頃より1月に1度の頻度で嘔吐があり、幼小時頃より時々胸のつっかえ感、食後の吐気、嘔吐などを自覚していたが、放置していた。2001年5月中旬頃より胸のつっかえ感が増強し、毎食時の嘔吐、固形物の摂取困難も出現した。6月2日には水分摂取も困難となり、4日に当院を受診した。受診時の上部消化管内視鏡検査(GIF)では食道は全体的に拡張し、中下部食道に白苔を伴う半周性の丈の低い隆起性病変を認めた。下部食道には食物残渣を認め、食道胃噴門部は狭窄しており、胃側への内視鏡の挿入は困難であった。食道造影検査では食道径は最大5.3cmで、下部食道は狭窄しており、中下部食道には半周性の粗大顆粒状の隆起を認めた。胸部CTでは胸腔内の食道は著明に拡張し、壁は均一に肥厚していたが、食道内の腫瘤性病変や食道壁外圧迫はみられなかった。食道の隆起性病変の病理組織は過形成性変化と良性で、腫瘍マーカーも正常であった。以上より食道内圧測定は施行出来なかったが、食道アカラシアおよび中下部食道の隆起性過形成性変化と考え、nifedipine30mgの舌下を開始した。舌下より流動食の摂取は可能となったが、症状が残存していたため、狭窄部に内視鏡的バルーン拡張術を施行した。拡張術を2回施行し、狭窄部から胃側へ内視鏡の通過は可能となった。拡張術後、症状は殆ど消失し、普通食摂取も可能となり、食道造影検査で食道径は3.2cm程度にまで縮小した。その後も舌下治療を継続し、拡張術3ケ月後の食道造影検査では食道径は最大3.2cmと変化なく、6ケ月後のGIFも狭窄部は内視鏡は通過し、食道の隆起性病変は前回と変わりなく、病理組織も過形成性変化であった。本例は食道の隆起性病変を伴った食道アカラシアの一例である。隆起の成因が食物の停滞による炎症性変化によるものか、前癌病変かは断定は困難であるが、現段階では隆起部の病理組織はいずれも過形成性変化と良性であり、食道アカラシアに伴う良性の食道隆起性病変の合併例は報告は非常に稀であり、示唆に富む症例と考えられたので報告する。
索引用語 食道アカラシア, 隆起性病変