セッション情報 パネルディスカッション7(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

EUS-FNA関連の手技と工夫≪ビデオ≫

タイトル 内PD7-3:

EUS-FNAの穿刺針径による診断能の検討

演者 荒木 正雄(相模原協同病院・消化器病センター)
共同演者 木田 光広(北里大東病院・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大東病院・消化器内科)
抄録 目的:EUS-FNAは今日、臨床上欠くことのできない検査として確立された手技である。EUS-FNAはその診断率向上のため様々な工夫が各施設で成されているが、穿刺針の選択も重要な要素といえる。今回我々は異なる穿刺針径別にその診断能を検討したので報告する。方法:2008年11月より2011年3月まで当院において施行した診断EUS-FNA205例のうち穿刺針の種類を変えて穿刺を行った149例を対象として、その検体採取率・正診率・合併症などにつきretrospectiveに検討した。症例の内訳は膵癌53例、粘膜下腫瘍52例、膵腫瘍16例、膵管狭細型慢性膵炎8例、その他様々な症例を対象とした。穿刺針はOLYMPUS社製22G、WILSON-COOK社製19G、25Gを使用し、穿刺用超音波内視鏡はOLYMPUS社製UC2000P、UCT240T、UCT-260を使用した。結果:穿刺回数は19G40回、22G186回、25G174回であった。検体採取率は全て100%であり、穿刺針別の診断率は19Gが26/40:65%、22Gが130/186:70%、25Gが109/174:62.6%であり穿刺針径では差がなかった。穿刺針別の診断率はEUS-FNA全体の正診率:85.7%と比較すると明らかに低率であった。粘膜下腫瘍では診断率は84.3%:43/51例であるのに対し、22Gでは78.4%:40/51例、25Gでは68.6%:24/35例といずれも全体の診断率より低率であった。膵癌53例の診断率は45/53:86.5%であるが、穿刺針別では22Gは62.3%、25Gでは59.8%と両者共に膵癌全体の診断率より低率であった。また対象の149例における正診率は83.2%と穿刺針別の診断率より高率であり、全体の診断率とほぼ同等であった。このことから穿刺の対象により穿刺針径を選択し、一種類の穿刺針での穿刺より異なる径の穿刺針を組み合わせて穿刺すればその正診率が向上する可能性があると考えられた。結語:EUS-FNAは穿刺対象によって穿刺針径を選択することにより診断率が向上すると考えられ、今後症例を重ね、診断別の最適な穿刺径を検討することによりさらに診断能の高い手技になると考えられる。
索引用語 EUS-FNA, 穿刺針