セッション情報 一般演題

タイトル 172:

関節痛および筋痛を伴い、腸管狭窄を認めた潰瘍性大腸炎の一例

演者 小島 昌貴(済生会 唐津病院)
共同演者 内海 広貴(済生会 唐津病院), 千布 裕(済生会 唐津病院)
抄録 潰瘍性大腸炎では、病巣が粘膜層および粘膜下層に限局しており、狭窄まで来すことは稀である。今回当院において、関節痛や筋肉痛などの腸管外症状が強く、検査において上行結腸に狭窄病変を認めた症例を経験したので報告する。症例は35歳女性。主訴は両肩部関節痛、後背筋部痛ならびに動悸倦怠と下痢であった。関節痛、筋肉痛は2~3ヶ月前より自覚しており、市販の貼布剤や鎮痛剤を服用していたが軽快しなかったという。下痢も2~3ヶ月前より1日3~4回みられており、水溶性下痢で血便などは認めなかった。来院時、Hb 5.1g/dlと重症貧血状態で、血液検査で強い炎症所見も認めていた。下部消化管内視鏡検査では病状急性期ということもあり、患者の苦痛が強かったためS字状大腸までの挿入であったが、直腸から連続する浅い地図状潰瘍と血管透見消失がびまん性に認められ、生検では陰窩膿瘍と杯細胞の減少が認められた。また注腸検査では直腸から連続する顆粒状粘膜と浅い潰瘍性病変の存在、鉛管状腸管およびハウストラの消失を認めたほか、上行結腸に狭窄部を認めた。潰瘍性大腸炎と診断し副腎皮質ステロイド、5ASA製剤を開始した。その後排便状態の改善とともに両肩関節痛、後背筋部痛は徐々に軽快した。上行結腸の狭窄部については、患者の状態が改善してから内視鏡検査を再度行ったが、ハウストラの浮腫状変化を示してはいたものの注腸検査で見られたような狭窄所見は軽快していた。イレウスのような症状や所見が認められないため、保存的に経過を見ることとした。現在ステロイドを漸減してゆき緩解状態である。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 腸管外症状