セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
28:C型肝硬変に合併し除菌療法が有効であった胃悪性リンパ腫の一例
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演者 |
遠藤 美月(国立大分病院) |
共同演者 |
那須 眞示(国立大分病院), 新関 修(国立大分病院), 本田 浩一(国立大分病院), 室 豊吉(国立大分病院) |
抄録 |
症例は56歳女性。平成5年検診で肝障害を指摘され加療を開始、平成9年4月腹腔鏡下肝生検でC型肝硬変と診断された。平成11年11月心窩部痛が生じ上部消化管内視鏡検査を施行したところ胃角小弯に潰瘍性病変を認め、精査・加療目的にて入院。入院時血液検査は肝硬変に合致する所見であり、Child-Pugh分類Cに相当した。胃病変部生検の病理診断はMALTomaであった。深達度はEUSでは第4層の肥厚と第5層の一部不明瞭化を認め、MDL所見と併せ、固有筋層もしくは漿膜下層までの浸潤と診断した。進行度はAnn Arbor分類 でstage IEであった。肝機能が非常に悪く、外科的治療の適応はないと考えH.pyloriに対する除菌療法(sodium rabeprazole 20mg,AMPC 1500mg,CAM 600mg/day X14days)を第一選択とした。除菌1ヶ月後の内視鏡検査で病変部は縮小、軽快傾向を認めたが、免疫染色を用いた最終病理診断でCD5陰性、CD10陽性であり、この時初めてFollicular lymphomaと診断された。病変部は3ヶ月後には完全に瘢痕化し、生検でも慢性炎症細胞浸潤を認めるのみとなった。厳重にフォローしているが約3年経過した現在も再発の所見は認めていない。low-grade MALTリンパ腫に対しては除菌療法を含む非外科的治療を第一選択とすることが主流となりつつあるが、本症例のようにMALTリンパ腫以外のリンパ腫に除菌療法が有効であった症例は非常に稀であると考えられたため報告する。また、本症例はC型肝硬変を罹患しており、HCVの肝外病変としての悪性リンパ腫との関連について、過去3年間の当科の症例を交えつつ検討した。 |
索引用語 |
胃悪性リンパ腫, 除菌療法 |