セッション情報 一般演題

タイトル 44:

リンパ節転移による管外性圧排により粘膜下腫瘍様形態を呈した早期胃癌の一例

演者 石橋 英樹(福岡大学 医学部 第三内科)
共同演者 吉水 一郎(福岡大学 医学部 第三内科), 西村 宏達(福岡大学 医学部 第三内科), 中根 英敏(福岡大学 医学部 第三内科), 森田 勇(福岡大学 医学部 第三内科), 江口 浩一(福岡大学 医学部 第三内科), 前田 和弘(福岡大学 医学部 第三内科), 青柳 邦彦(福岡大学 医学部 第三内科), 永井 哲(福岡大学 医学部 第一外科), 田中 伸之介(福岡大学 医学部 第一外科), 池田 靖洋(福岡大学 医学部 第一外科), 城谷 拓郎(城谷内科), 向坂 彰太郎(福岡大学 医学部 第三内科)
抄録  症例は、68歳男性。2002年4月下旬に、検診目的で近医を受診し、上部消化管内視鏡検査にて胃前庭部大弯側に隆起性病変を認め、精査加療目的にて5月に当科入院。上部消化管内視鏡検査では、前庭部大弯に粘膜下腫瘍様隆起を認めた。頂部に不整形の陥凹を伴い、陥凹周囲には結節状隆起を認めた。送気により、粘膜下腫瘍様隆起は形態が変化し、比較的柔らかい病変であった。ただし、陥凹周囲の結節状隆起は、送気による形態変化を認めなかった。中心陥凹および、周囲の結節からの生検では、中分化型腺癌を認めた。上部消化管X線検査では、胃前庭部大弯側に表面平滑な隆起性病変を認め、粘膜下腫瘍様形態を呈し、中心部に淡いバリウム斑を伴っていた。圧迫像では、中心のやや不整形のバリウム斑の周囲に周提様の結節状隆起を認めた。結節状隆起の形態は、圧迫の強さにより、内視鏡所見同様変化しなかった。なお、二重造影で認めた粘膜下腫瘍様隆起は圧迫では描出されなかった。EUSでは、病変の中心部においては、第1~3層に低エコー腫瘤を認め、さらに、管外性に直径約30mmの低エコー腫瘤を認めた。腹部CT検査では、胃前庭部大弯側より突出するように、胃壁外に主座を置く3cm大のlow density areaを認めた。以上より、粘膜下腫瘍様の形態を伴う、管外に発育する2型進行胃癌と考え、幽門側胃部分切除術を施行した。開腹所見では、前庭部大弯側の奬膜側に付着する様に、径2.5×6.0cmに腫大した4dリンパ節を認めた。切除病理所見では、中分化型腺癌で深達度sm3であった。術後診断はT2,N1,M0,stage IIであった。術後開腹所見より、粘膜下腫瘍様形態を呈した部位、すなわちEUS上管外性発育と考えた部位は、腫大したリンパ節による圧排であった。今回、所属リンパ節転移による奬膜側からの管外性圧排のために、粘膜下腫瘍様形態を呈した稀な早期胃癌の一例を経験したので、文献的考察を含め報告する。  
索引用語 早期胃癌, 粘膜下腫瘍様