セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
233:7年の経過観察後,消化管出血にて発症した十二指腸球部原発GISTの1例
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演者 |
松岡 隆久(白石共立病院 外科) |
共同演者 |
広橋 喜美(白石共立病院 外科), 松山 悟(白石共立病院 外科), 岸川 正彦(白石共立病院 外科), 森 倫人(織田病院 外科) |
抄録 |
GIST (gastrointestinal stromal tumor )の概念は,消化器外科の分野でも急速に普及してきており,最近では消化管間葉系腫瘍(gastrointestinal mesenchymal tumor:GIMT)の一亜型に分類されるようになってきた.組織学的には紡錘形細胞と一部類上皮細胞からなり,平滑筋細胞やSchwann細胞への分化を示さず,Cajar介在細胞に酷似した分化を示すものと定義され,その臨床的意義も次第に明らかになりつつある.今回我々は発生部位としては比較的稀とされる十二指腸球部原発のGISTを経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 症例は53歳,女性.平成6年12月十二指腸潰瘍出血にて他医で内視鏡的止血術を施行される.このとき十二指腸球部に約1cm弱の粘膜下腫瘍を認めたが,生検ではGroup Iであった.その後同部は小隆起を認めるのみで粘膜面には異常は認めず経過観察となったが,今回平成13年12月,吐血とタール便を認めたため当院入院となる.上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部後壁に深い潰瘍を伴った粘膜下腫瘍を認め,検査時には止血していたものの同部からの出血が疑われた.入院時Hb 6.4 mg/dl,Ht 19.9 %と高度の貧血を認め,腹部US,CT,MRIでは,胆嚢と十二指腸との間に境界は比較的明瞭な径4cmのenhanceされる腫瘍を認め,壁外性発育を示した.低緊張性十二指腸造影では同部にdelleを伴う粘膜下腫瘍を認め,腹部血管造影検査ではGDAからのcholedochal brunch をfeederとしたtumor stain を認めた.以上より十二指腸球部の平滑筋腫または肉腫の診断で,平成14年1月8日に手術を施行した.手術は幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を予定していたが,腫瘍は比較的容易に剥離できたため幽門側胃切除術を施行した.切除標本の病理組織学的所見は紡錘形細胞と一部類上皮細胞からなる腫瘍で,細胞異型は乏しいが2-3 / 10HPFの核分裂像を認めlow grade malignancyと考えられた.免疫組織化学的にはCD34,C-kit陽性で部分的にS-100陽性のuncommited type GISTと診断された. |
索引用語 |
GIST, 十二指腸 |