セッション情報 一般演題

タイトル 175:

脾臓への放射線照射により著明な改善を示した、骨髄線維症に起因した食道胃静脈瘤の1例

演者 光岡 浩志(産業医科大学 第3内科)
共同演者 山崎 琢士(産業医科大学 第3内科), 成田 竜一(産業医科大学 第3内科), 久米 恵一郎(産業医科大学 第3内科), 阿部 慎太郎(産業医科大学 第3内科), 田原 章成(産業医科大学 第3内科), 大槻 眞(産業医科大学 第3内科), 芳川 一郎(産業医科大学病院 内視鏡部), 東 丈裕(産業医科大学 第1内科)
抄録 症例は66歳女性。58歳の時血液内科にて骨髄線維症と診断され加療中であった。平成14年3月20日吐血のため外来受診した。緊急内視鏡にてLm F3の食道静脈瘤からの出血を認め内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を行った。骨髄線維症の予後を考慮し残存静脈瘤に対しEVLを追加し退院となった。その後2ヶ月の間に胃静脈瘤・食道静脈瘤それぞれ1度破裂し、そのたびに対症的にEVLにて止血を行った。3回目の吐血の後からβブロッカー内服を開始し、その後巨脾による臓器圧迫症状出現したため、計26.5Gy脾臓への照射をおこなった。照射後に行った上部内視鏡検査では静脈瘤の著しい縮小を認めた。
本症例では肝硬変を呈しておらず、骨髄線維症により脾臓での髄外造血が行われ巨脾となり、その増大した血流量が門脈圧を亢進させ食道胃静脈瘤を形成したものと考えられる。出血した静脈瘤に対し内視鏡的治療を繰り返しおこなったが、根本的に門脈圧の亢進を解消できなかったため再発・吐血を繰り返した。しかし巨脾を縮小させるために髄外での造血を抑制する目的で行った脾臓への放射線照射が、結果的に脾臓からの血流量を漸減させ静脈瘤を消失させた。
骨髄増殖性疾患に合併する門脈圧亢進症の病態を考える上で興味ある症例と思われ、内視鏡所見とともに報告する。
索引用語 食道胃静脈瘤, 骨髄線維症