セッション情報 一般演題

タイトル 8:

当院におけるHelicobacter pylori除菌療法の現状

演者 山西 幹夫(長崎県離島医療圏組合 上五島病院 内科)
共同演者 山崎 一美(長崎県離島医療圏組合 上五島病院 内科), 白濱 敏(長崎県離島医療圏組合 上五島病院 内科)
抄録 【目的】H. pylori感染胃・十二指腸潰瘍に対して除菌療法が保険適応となり、全国的に除菌療法が行われているが、当院においては、1998年より存在診断を開始し、除菌適応と考えられる症例に対しては、保険認可以前より除菌療法を行ってきた。今回それら症例も含め、当院における除菌治療の成績を検討した。【方法】呼気中13CO2分析装置導入以前は、除菌前感染診断は、主に迅速ウレアーゼテスト、生検鏡検法で行い、除菌判定もそれらにより総合的に判断したが、さらに導入後可能な限り尿素呼気試験により確認検査を追加した。導入後の感染診断は、尿素呼気試験または迅速ウレアーゼテストで行い、除菌判定は全例呼気試験で行った。除菌治療は、保険認可前は、オメプラゾール、アモキシシリン、クラリスロマイシンの3剤併用療法で、認可後はランプラゾール、アモキシシリン、クラリスロマイシンの3剤にて行った。1998年6月より2002年7月まで、除菌療法を行い効果判定まで施行できた症例は139人。対象疾患は胃潰瘍69人、十二指腸潰瘍38人、胃・十二指腸潰瘍併存19人、胃癌EMR後3人、胃MALTリンパ腫2人、その他8人であった。うち、胃・十二指腸潰瘍症例126人に対し検討を行った。【成績】126例における除菌成功率は84.9%(107人)であった。性別で比較すると、男性82.5%(97人中80人)、女性93.3%(29人中27人)であった。原疾患別に比較すると胃潰瘍単独例では81.2%、十二指腸潰瘍単独例94.7%、胃・十二指腸潰瘍並存例73.7%であった。副作用は14.3%にみられ、ほとんどが軽度の下痢症状であった。除菌成功後の潰瘍再発は、4例にみられ再発率3.7%であった。いずれも胃潰瘍症例で、うち3例はH2-blocker内服中止後一年以内の比較的早期に再発した。【結論】全体の除菌率としては、諸家の報告とほぼ同等の結果であった。十二指腸潰瘍において除菌率が高く、再発率が低い傾向が伺われた。
索引用語 Helicobacter pylori, 除菌療法