セッション情報 一般演題

タイトル 105:

クロレラによると考えられた薬剤性肝障害の一例

演者 古賀 裕之(福岡県立 消化器医療センター)
共同演者 井上 欣哉(福岡県立 消化器医療センター), 石井 邦英(福岡県立 消化器医療センター), 佐藤 公昭(福岡県立 消化器医療センター), 長 竜彦(福岡県立 消化器医療センター), 實藤 俊昭(福岡県立 消化器医療センター), 田口 順(福岡県立 消化器医療センター), 梶原 雅彦(福岡県立 消化器医療センター), 安倍 弘彦(福岡県立 消化器医療センター), 佐田 通夫(久留米大学第2内科)
抄録  症例は53歳女性.事務職.平成14年5月30日右下腹部違和感を主訴に当科受診.血液検査で,GOT 60U/L,GPT 69U/L,γGTP 65U/Lと肝機能異常を認めた.肝炎ウイルスマーカーは陰性で,抗核抗体80倍,抗ミトコンドリア抗体160倍(M2抗体陽性),IgMは485mg/dLと上昇.以上より自己免疫性肝炎や原発性胆汁性肝硬変などを疑い,肝生検を施行した.組織の結果は,中心静脈周囲を主体に肝細胞の変性・壊死が認められ,薬剤性肝障害を示唆する所見であった.再度問診の結果,健康食品であるクロレラを6ヶ月前から服用しており,同製剤の服用中止にて経過観察を行った結果,肝機能の改善を認め,抗ミトコンドリア抗体は40倍に低下した.同製剤に対するリンパ球幼弱化刺激試験の結果,陽性であり,クロレラによる薬剤性肝障害と診断した.これまでクロレラによる肝障害の報告は散見されるが,本症例は,クロレラによる薬剤性肝障害を契機に自己免疫性肝障害を呈した症例と考えられるが,自己免疫性肝障害の初期の段階も否定できないため,今後厳重な経過観察が必要であると考えられた.
索引用語 クロレラ, 薬剤性肝障害