セッション情報 シンポジウム2

タイトル S2-008:

当科における消化管原発性悪性リンパ腫症例の臨床的検討

演者 佐藤 清治(佐賀医科大学 医学部 一般・消化器外科)
共同演者 北島 吉彦(佐賀医科大学 医学部 一般・消化器外科), 田中 聡也(佐賀医科大学 医学部 一般・消化器外科), 中房 祐司(佐賀医科大学 医学部 一般・消化器外科), 宮崎 耕治(佐賀医科大学 医学部 一般・消化器外科)
抄録 【目的】消化管原発性悪性リンパ腫の治療法はまだ確立されておらず、各施設間や症例の状況により様々な治療法が行われている。今回我々の施設において治療を行った消化管原発性悪性リンパ腫に関し、治療法、予後(寛解)等を検討したので報告する。【対象と方法】当科にて1984年から2002年8月までに経験した消化管原発性悪性リンパ腫(表在リンパ節を触知せず、腹腔内に限局し、臨床所見や血液データ、画像診断から全身性の悪性リンパ腫を否定できる症例に限定)43例を対象とした。内訳は胃原発28例、十二指腸原発2例、小腸・大腸原発11例、胃・小腸・大腸全体2例であり、各原発臓器において治療法、予後(寛解)について検討した。また、胃原発のstage分類は胃癌取り扱い規約を使用した。【結果】胃原発性ではB細胞型23例、T細胞型3例、不明2例であり、その組織型はdiffuse, large 5例、diffuse, medium 10例、diffuse, small 1例、pleomorphism 2例、follicular 2例、MALT 6例、その他2例であった。治療では手術先行16例、術前化学療法8例(stage IIIa以上)、胃温存療法3例、無治療1例であり、手術は全摘ばかりでなく幽門側胃切除も行っている。予後は手術先行の16例中、1例の不明を除く全例が寛解と考えられた。術前化学療法施行例は寛解2例、原病死4例、他病死1例、不明1例であった。胃温存では2例が寛解、1例が原病死した。十二指腸原発は1例が手術先行、1例が臓器温存であるが2例とも寛解している。小腸・大腸原発の11例は手術先行が6例、術前化学療法2例、非切除3例であった。手術施行8例では全例に術後化学療法が施行されている。予後は原病死が手術先行では2例、非切除例で1例だが、残りは観察期間が短いものと不明の症例である。【考察】胃原発悪性リンパ腫は、近年胃温存療法へと移りつつあるが、stage IIまでの症例は手術のみでも充分な寛解が得られるものと考えられた。Stage IIIA以上の進行例は術前化学療法併用にて寛解も認められるが胃切除の意義は不明である。
索引用語 消化管原発性悪性リンパ腫, 胃原発性悪性リンパ腫