セッション情報 一般演題

タイトル 317:

特発性胆道穿孔の1例

演者 重政 有(佐世保中央病院 外科)
共同演者 清水 輝久(佐世保中央病院 外科), 荒木 政人(佐世保中央病院 外科), 羽田野 和彦(佐世保中央病院 外科), 碇 秀樹(佐世保中央病院 外科), 菅村 洋次(佐世保中央病院 外科), 國崎 忠臣(佐世保中央病院 外科), 大久保 和昭(佐世保中央病院 消化器科), 米満 伸久(佐世保中央病院 消化器科)
抄録 特発性胆道穿孔の原因として膵管胆管合流異常との関連が指摘されている。小児例では先天性胆道拡張症の合併症として胆道穿孔の報告例が散見されるが、成人例はきわめてまれである。今回膵管胆管合流異常が原因と考えられた特発性胆道穿孔の成人例を経験したので報告する。症例は44歳男性。主訴は腹痛、嘔吐。2002年8月23日19-24時の間ビール1Lを飲酒した後、8月24日0時30分頃突然心窩部痛出現しその後嘔吐したため、救急外来受診。入院時心窩部に圧痛を認めたが、筋性防御は認めなかった。腹部CT上も有意な所見はなかった。入院時白血球13500/ mm3、血清アミラーゼ155IU/L。8月24日朝、生化学検査で軽度膵酵素の上昇を認め、胃内視鏡所見では胃、十二指腸には潰瘍性病変は認めなかった。上腹部中心に筋性防御出現し、腹部CTでは右腎周囲にfat densityの上昇を認めた。同日急性腹症の診断で、発症後12時間に緊急手術を施行した。後腹膜側と腹腔内に胆汁の貯留を認め、胆汁中のアミラーゼ値は6687IU/Lと異常高値、培養は陰性であった。腹腔内を検索したところ総胆管の直径は1.5cmと軽度拡張していた。胆汁の貯留を高度に認めた後腹膜の部分を剥離したところ、総胆管の三管合流部より1cm遠位側に脆弱化した総胆管の壁を認め、同部位から胆汁の漏出を認めた。消化管の穿孔部を検索したが他には認めなかった。胆嚢を摘出し、脆弱化した壁を漿膜縫合した後、胆嚢管からc-tubeを挿入した。術後のc-tube造影、MRCPでは長い共通管は同定できなかったが、c-tubeから採取した胆汁中のアミラーゼ値は5万~31万IU/Lと異常高値で合流異常が強く示唆された。術後イレウス症状が発現し、現在保存的治療中である。膵胆管合流異常では胆道癌の発生が高頻度であるため今後分流手術を行う予定である。
索引用語 胆道穿孔, 成人