セッション情報 一般演題

タイトル 99:

肝癌に対するラジオ波焼灼療法後に横隔膜下膿瘍、気管支瘻をきたした1症例

演者 増崎 亮太(佐賀県立病院 好生館)
共同演者 川添 聖冶(佐賀県立病院 好生館), 重松 宏尚(佐賀県立病院 好生館), 小野原 信吾(佐賀県立病院 好生館)
抄録 【はじめに】肝癌治療において、RFAはその高い局所制御効果、安全性により、全国的に普及している。しかし少数例であるが合併症も報告されている。我々は、経皮的ラジオ波焼灼術後に横隔膜下膿瘍、気管支瘻を形成した1症例を経験したので報告する。【症例】72歳男性。昭和56年検診で肝機能異常、C型慢性肝炎を指摘。平成4年インターフェロン療法受けるも無効。平成13年7月S4に15mmとS2に10mmのHCC認めRFA施行、その後平成14年3月、S6に対してRFA施行。外来フォロー中、8月5日の腹部超音波検査にてS8ドーム直下に14mm、S5に11mmのHCCを認め精査加療目的で入院。【入院時所見】血圧130/74mmHg、脈拍76bpm整、体温35.7℃、呼吸音心音異常無し。腹部は平坦、軟。手掌紅斑(+)。AST 60IU/l、ALT 81Iu/l、Alb 3.5g/dl、PT 97.4%、Plt 8.7×104/μl、Liver damage A,、Stage2、PIVKA2 10mAU/ml, AFP 13.5 ng/ml (L3 7.8%)【入院後経過】8月15日超音波ガイド下にCool-tip型RFAをそれぞれに130Wx12分焼灼術施行。術後38℃以上の発熱が7日間続き、抗生剤(SBT/CPZ)投与後もCRP6.6mg/dと上昇、腹部超音波検査にて横隔膜下にecho free spaceを認めた。CTでは焼灼範囲は十分であったが、無気肺あるいは膿瘍形成が疑われる結果で、RFA後の横隔膜下膿瘍と診断し9月1日に経皮経肝横隔膜下膿瘍ドレナージを施行した。この時膿瘍部に近接する右気管支が造影された。治療後より急速に解熱し、炎症反応も陰性化した。9月4日にドレーン造影したが、膿瘍腔は縮小し、気管支は造影されず自然閉鎖したものと思われた。ドレーン抜去し9月20日軽快退院した。【考察】術後気管支瘻は椎名らの報告では636例中2例の頻度であったが、いずれも保存的に治癒している。横隔膜直下の肝癌に対する焼灼術では膿瘍に伴い気管支瘻を形成する可能性があることに注意し、早期に対処する必要があると思われた。
索引用語 ラジオ波焼灼療法, 気管支瘻