セッション情報 一般演題

タイトル 213:

膵炎症状にて発見された膵動静脈奇形の一例

演者 長岡 進矢(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター)
共同演者 関田 孝晴(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 宿輪 三郎(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 大黒 学(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 八橋 弘(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 古賀 満明(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 石橋 大海(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 松岡 陽治郎(国立病院長崎医療センター放射線科)
抄録 【症例】66歳女性。【主訴】背部痛。【既往歴】数年前から高血圧、最近糖尿病を指摘されている。【家族歴】特記事項なし。【現病歴】2002年7月頃より腹痛、背部痛を自覚していた。8月11日痛みの増強があり当科外来受診、鎮痛剤投与にて症状一旦軽快するも8月14日背部痛の増強があり入院となる。【入院時現症】身長153cm 体重73kg。血圧 178/100mmHg ,脈拍 85/分, 体温36.9℃。 意識は清明で心音、呼吸音は整、腹部は平坦、軟で上腹部に軽い圧痛を認めた。【入院時検査所見】WBC:6400/μl Hb:13.5g/dl 血小板:17.1万/μl T.Bil:0.6mg/dl AST:58 IU/l ALT:50 IU/l  LDH:265 IU/l ALP:639 IU/l γ-GTP:322 IU/l LAP:172 IU/l AMY:63 IU/l P-AMY:42 IU/l CRP:4.7mg/dl FBS:175mg/dl HbA1c:11.0% PT:75.5% HBsAg (-) HCV-Ab (-) IgG:1793mg/dl 抗核抗体: 640倍 Speckled pattern  【経過】 腹部造影CT及び血管造影検査にて膵頭部に約3cm大の早期濃染像を認めた。背膵動脈、中結腸動脈の分枝、前後膵十二指腸動脈、右肝動脈の分枝から門脈への流入が認められ、膵動静脈奇形と診断した。また膵頭部周囲脂肪層のdensity上昇から膵炎の合併が疑われた。上部消化管内視鏡ではLmF3CbRC(+)Lg(-)の食道静脈瘤を認め予防的にEVLを行った。 腹腔鏡検査をおこない肝硬変を確認した。 本症例は今後膵動静脈奇形に伴う門脈圧亢進症の進行による消化管出血、肝予備能の悪化が危惧される。治療法としてこれまで外科切除、TAE、TIPSなどが報告されているが、門脈への流入血管が多くTAEでの根治は困難と考えられる。肝予備能を含め全身状態が安定しており根治性も高いことから外科切除を行う予定である。 比較的まれな膵動静脈奇形について文献的考察も含め報告する。
索引用語 膵動静脈奇形, 門脈圧亢進症