セッション情報 パネルディスカッション7(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

EUS-FNA関連の手技と工夫≪ビデオ≫

タイトル 内PD7-7:

経乳頭的胆管ドレナージ困難例に対するEUS下胆道ドレナージ術の有用性

演者 今井 元(近畿大・消化器内科)
共同演者 北野 雅之(近畿大・消化器内科), 工藤 正俊(近畿大・消化器内科)
抄録 【目的】ERCPによる胆道ドレナージが困難な症例に対してEUS下胆道ドレナージ術(EUS-BD,EUS-GBD)は有用な治療法の一つである。当院において2011年2月までに行ったEUS-BDについて治療成績を含めて検討したので報告する。【対象、方法】2011年2月までに当院で行ったEUS-BD33例EUS-GBD9例を対象とした。方法は超音波観察下で胆道を描出し、穿刺ラインに血管が存在しないことを確認した上で、19G穿刺針を用いて拡張胆管もしくは胆嚢を穿刺した。穿刺孔拡張後にプラスチックステントまたはメタルステントを留置した。検討項目は、穿刺ルート、ステント留置を完遂とするtechnical success、黄疸を含めた胆道狭窄症状の改善を成功とするclinical success、ステント開存期間、偶発症の5項目を検討した。【結果】EUS-BD:下部胆管狭窄例にはCholedochoduodenostomy(19例)を、肝門部胆管狭窄例にはHepatogastrostomy(11例)あるいはHepatoduodenostomy(1例)を行った。胆管壁肥厚により穿刺孔拡張が困難であった1例を含む3例において、Rendezvous法で乳頭部よりステント留置を行った。全例で最終ステント留置後1カ月以内に肝機能が改善した。5例に術後逆行性胆管炎が生じたが、瘻孔部からのアプローチで狭窄部にメタリックステントを留置した。その他の偶発症として、ステント迷入(1例)、ステント逸脱(1例)、限局性腹膜炎(6例)を認めた。EUS-GBD:対象疾患は悪性胆道狭窄(4例)、メタリック留置後胆嚢炎(4例)、胆石胆嚢炎(1例)に対して施行した。穿刺ルートは経胃的3例、経十二指腸的6例であった。全例でステント留置はできた。また全例で臨床症状は改善し偶発症は認めなかった。EUS-BD、EUS-GBDにおける平均ステント開存期間はそれぞれ61.5日、125.1日であった。【結語】経乳頭的アプローチ困難例に対してEUS下胆道ドレナージ術は有用な手技であるが、限局性腹膜炎などの偶発症に注意して実施する必要がある。また様々な穿刺ルートとステント留置法があり必要に応じて選択していくことが重要である。
索引用語 EUS-intervention, EUS-胆道ドレナージ術